死亡事故で加害者に損害賠償能力がない場合にはどうすれば?
『交通事故に遭ったのに、加害者から治療費などを払ってもらえなくて、結局泣き寝入りになった。』という話を聞いたことはないでしょうか?
死亡事故の場合、被害者だけでなく加害者も亡くなって、誰も賠償してくれないと嘆く遺族もいます。
しかし、自動車事故の場合は自動車には自賠責保険への加入が義務付けられていますので、自賠責保険に請求すれば治療費や死亡慰謝料などを自賠責保険から受け取れます。
交通事故を現場検証した警察は事故を起こした自動車のナンバーや加入していた自賠責保険の担当保険会社なども調査して控えていますので、各都道府県の交通安全運転センターに交通事故証明書の発行の手続きをすればよいです。
それを持って、自賠責保険に請求すれば、自賠責保険が定める範囲で損害賠償金が支払われます。
加害者が自動車保険に加入しているかがポイント
しかし、自賠責保険から支払われる金額は死亡事故の被害者の年齢や年収からすると十分な補償ではないケースもあり、自賠責保険から支払われた金額では足りない場合は、加害者に請求することになります。
ですが、加害者にそれだけの財産がなければ、支払えないと開き直ったり、時として支払わずに夜逃げしたり、最悪自殺などをしてしまうケースまであります。
加害者が死亡した場合には、配偶者や子といった法定相続人に損害賠償請求することができますが、相続人が相続放棄をしてしまうと請求することができません。
また、加害者が自己破産をしてしまうと、それ以上の損害賠償請求をすることができません。
飲酒運転や悪質な運転で危険運転致死罪に相当する死亡事故ならば、自己破産が認められない可能性がありますが、一般的に多い過失運転致死罪だと自己破産が認められるケースもあり、損害賠償を受けられないという事もあります。
しかし、加害者が自動車保険に加入している場合には、話は別になります。
死亡事故が起こった時点で、加害者側の保険会社には被害者遺族に対して損害賠償する必要が出てきます。
自動車保険の契約では、契約者が交通事故の相手に対して損害賠償責任を負った場合、実質の支払者になる保険会社が代理権を有することを認めています。
そのため、加害者が死亡していても、保険会社に対して死亡事故の損害賠償請求をすることができます。
死亡事故の加害者との示談交渉が困難な場合は、早急に弁護士に相談をした方が良いでしょう。
時間をかけすぎてしまうと話がこじれるだけでなく、加害者側が逃げてしまったり、保険会社が有利な条件で示談をしてしまおうとしてきたりしますので、要注意です。
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死亡事故の加害者は、事故発生後に逮捕される。最長23日間拘留され、その後、起訴するか不起訴か検察が判断する。加害者の減刑は、被害者との和解が重要視される。
保険会社が提示する損害賠償金額は、自賠責基準とほとんど差がない。死亡事故の場合の自賠責基準と弁護士基準について見てみると基準額の決め方が異なり、数百~一千万円以上の差が出る可能性がある。
死亡事故の加害者への損害賠償請求には、通夜~法要、埋葬までに要する葬儀関係費用を含められる。一般的な請求上限額は150万円であり、個々の要件により上限額は増減する可能性がある。
交通死亡事故でひき逃げや飲酒運転、証拠隠滅など加害者に悪質な事由がある場合、慰謝料が増額された判例がある。賠償金額が大きく違ってくる可能性があり、交通死亡事故に強い弁護士へ相談すべきである。
家族が死亡事故に遭った場合には示談交渉を行うが、損害賠償請求権の時効は事故日から5年である。しかし、提訴や催告、承認などで時効の更新(中断)を行う事が出来る。