自動車保険から見る交通死亡事故について
交通死亡事故の場合、損害賠償の金額が高額になる事があります。
裁判では、38歳男性医師で3億6750万円の判決が下りたこともあり、死亡事故により被害者や被害者家族だけでなく、加害者側も大きく人生が狂うことがあります。
一般的な生涯賃金が2億円と言われていますので、死亡事故の被害者が若ければ若いほど、給与の逸失利益は2億円に近くなります。
そのため、死亡事故の損害賠償が1億円を超えることは、決して他人事ではないことが分かります。
自賠責保険の支払限度枠は死亡事故で3000万円なので、到底足りるものではありません。
自動車保険の人身傷害保険に加入していても限度枠が無制限でない限り、損害賠償の金額がそれを上回る危険性が常にあると言う事になります。
自動車保険でまかないきれなかった損害賠償は加害者に支払いの責任があり、損害賠償を理由による自己破産も出来ないため、損害賠償金を払いきるまでは自分の資産持つことは不可能になります。
また、裁判所による強制執行による給料からの回収も可能なため、一生支払い続ける可能性もあります。
死亡事故の被害者が保険金を享受できるとは限らない
自動車保険の加入率の統計をみると、2015年3月末の時点で、全国平均で73.8%になります。
全国最下位の沖縄県では、対人賠償保険の加入率は53.3%で、約半数が無保険車です。
つまり4台に1台は自賠責保険にしか加入しておらず、死亡事故が起きた場合には十分な補償ができないことが分かります。
また、保険に加入していても保険料を抑えるために、「5000万円まで」と言うような上限付の保険に加入している人も多いでしょうから、さらに死亡事故でも補償できない事例が多数あると考えられます。
傾向として、自動車保険に加入していない人は、経済的に低所得層が多く、交通事故や安全運転に対しての意識が低いことがあります。
これを裏返すと、「交通事故を起こす確率が高いのに、事故が起こった際に賠償できるだけの経済力がない人が、保険未加入者に多い」と言う事になります。
そのため、「弁護士に依頼して裁判までしたのに、実際に回収できたのは自賠責の上限の3000万円だった」と言う事があり、死亡事故の被害者家族に十分な補償がされないまま泣き寝入りと言うことがあります。
弁護士に依頼する際にも、加害者が加入している保険内容を十分に下調べしておいた方が良いでしょうし、もし調べきれなかった場合には弁護士に依頼した際には一番に調査してもらう方が良いでしょう。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
死亡事故の相続人が行方不明の場合には、示談交渉で問題が起こることが多くあるので、死亡事故が起こったら速やかに故人の戸籍を調査する方が良い。
死亡事故の遺族間で示談の意見が合わない場合には、早い段階で弁護士に介入してもらう方が、円滑に話し合いがすみ、加害者との示談交渉に臨める。
死亡事故の対応をご遺族で処理するのではなく弁護士に任せる事で、損害賠償金額が増えたり、各種手続きの手間が省けたりと、様々なメリットがある。
死亡事故に遭った被害者の遺族への対応によって、加害者の刑罰の軽重が変わる事があるので、弁護士に相談をして対応をどうするか考えた方が良い。
死亡事故の示談をした後は、ほぼ示談を取り消すことができないため、問題がある相手ならば、示談交渉をする際は弁護士に任せた方が良い。