死亡事故の訴訟で加算される遅延損害金について
交通事故のなかでも死亡事故の場合、損害賠償金額が数千万円と高額なこともあって示談交渉が長引きがちです。
それでも交渉がうまくいかない場合には民事訴訟となり、そうなれば解決は2年、3年とさらに遅れていきます。
このように示談成立までの時間が長引いたことに対する慰謝料として、死亡事故の訴訟における損害賠償額には「遅延損害金」を加害者側に負担させることが認められています。
判例上から、遅延損害金の起算日は交通事故死亡日とされ、年率を損害額の5%としています。
損害額2億円、裁判での解決が交通事故から2年後であったとすれば、1億円×0.05×2=1,000万円を遅延損害金として請求可能です。
訴訟での解決よりも先に自賠責保険からの支払いを受けていた場合の遅延損害金は、損害金の総額から既払い金を控除した金額の5%となります。
ここで生まれるのが、「自賠責分は遅延損害金に含めなくてもいいのか」という疑問。
損害金額の総額で考えるなら、自賠責での支払い分についても遅延の損害は発生していると考えられます。
自賠責保険の支払い時に遅延損害金を請求することはできないので、結果的に訴訟解決時には、自賠責分の遅延損害金も加害者からの賠償金に加算するという最高裁での判例があります。
遅延損害金を含め漏れなく請求をするために
遅延損害金はあくまで「請求できるもの」であり、自動的にプラスされるものではありません。
起訴する側が、遅延損害金がもらえることを知らずに請求に含めなければ、本来受け取れるはずの数百~1,000万円といった多額の請求漏れが生じてしまいます。
交通事故の事情はケースバイケースで、決められた算出法以外にも「訴えれば請求できる要素」が存在します。
遅延損害金もそのひとつであり、「交通事故に強い弁護士」ならば、先のような請求漏れをすることなく確実な交渉を期待できます。
遅延損害金は、死亡事故で訴訟になった場合のみに適応される項目であり、訴訟前の和解では通常、請求が行われません。
ただし和解時でも、判決になれば請求可能な遅延損害金の50%程度を「調整金」として支払うよう求めたという事例が存在します。
交通事故のなかでも賠償金が高額になる死亡事故においては、ひとつひとつの請求内容が大きな違いにつながります。
訴訟になる前の示談においても請求漏れがないよう、信頼できる弁護士に相談してみることが大切です。
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死亡事故の民事裁判となった場合、加害者側は損害賠償金の遅延損害金も併せて支払わなければいけなくなる。
死亡事故当時無職であった場合には、逸失利益を0円として保険会社は計算をしてくるが、裁判所の判断によっては逸失利益を認める判決が出ることがある。
死亡事故では、加害者と被害者遺族間で、過失割合でもめることが多く、わずかな過失割合の差で金額が大きく変わるため、紛争となることもある。
ご家族が死亡事故に遭われると、正常な判断ができなくなる可能性があります。抜けのないよう、損害賠償を全て請求するためにも、その種類についてはしっかりと把握しておく事が大切です。
保険会社が提示する損害賠償金額は、自賠責基準とほとんど差がない。死亡事故の場合の自賠責基準と弁護士基準について見てみると基準額の決め方が異なり、数百~一千万円以上の差が出る可能性がある。