死亡事故の民事訴訟では遅延損害金が発生するの?
死亡事故は事故の重大性から、しばしば遺族から民事裁判を起こされることがあります。
死亡事故の遺族が民事訴訟を起こす理由は、「加害者から謝罪がない」「死亡事故の状況を加害者自身から聞きたい」「刑事裁判の内容が不満なので、民事裁判で争いたい」「加害者側の保険会社が提示する損害賠償額が不満」など様々です。
しかし、民事裁判である以上関わってくるのがお金、「損害賠償請求額」です。
民事裁判では懲役刑などの求刑は出来ず、出来ることと言えば謝罪と損害賠償金の支払いを要求することくらいになります。
特に加害者サイドからの謝罪がない場合には、損害賠償額や支払いのあるなしが裁判の争点になってきます。
遅延損害金は訴訟時に発生する
そのため、死亡事故で弁護士に依頼をした場合、損害賠償請求額を計算するのですが、請求項目は多岐にわたります。
その請求項目の中で、訴訟となった時にのみ出てくる項目が2つあります。
1つは弁護士費用で、示談や調停の場合には弁護士費用を加害者側に請求することはないのですが、裁判となった場合には弁護士費用も含めて請求するのがスタンダードです。
もう1つが、遅延損害金です。
遅延損害金とは、「損害賠償金が支払われるのが遅くなったので、その損害分のお金」というものになります。
遅延損害金は民法で年利5%と定められていますので、死亡事故の場合では損害賠償額が1億を超える場合もあり、年利が5%とはいえバカにはできない金額になることもあります。
しかも、遅延損害金の起算日は症状固定をした日でも、判決がおりた日でもなく、交通事故の発生日となります。
そのため、交通事故が起きてから裁判が終わって、支払われたのが事故からちょうど4年目だったとすると、5%×4年=20%、つまり2割増しの損害賠償請求額を支払わなければいけないことになります。
つまりこれだけでも加害者サイドからするとかなりの出費となる訳です。
弁護士が介入している裁判を保険会社が嫌う理由は、弁護士が損害賠償請求してくる金額は判例に基づくものなので、裁判となった場合には敗訴の可能性が高いだけでなく、弁護士費用や遅延損害金の支払いまで発生するので、保険会社としては大損害となるからなのです。
ですが、弁護士がまず初期の段階で保険会社と交渉する際に、いきなり裁判を行うことは稀で、まずは示談交渉、裁判所での調停・裁判と段階を踏んでいくため、保険会社側も示談や調停の段階で和解に応じることが多いのです。
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死亡事故で弁護士を雇う利点は、公的な手続きを代行してもらえる、加害者側の交渉を任せられるので直接会わずに済む、保険会社と交渉して保険金の増額が望めるなどがある。
家族が死亡事故に遭った場合には示談交渉を行うが、損害賠償請求権の時効は事故日から5年である。しかし、提訴や催告、承認などで時効の更新(中断)を行う事が出来る。
保険会社が提示する損害賠償金額は、自賠責基準とほとんど差がない。死亡事故の場合の自賠責基準と弁護士基準について見てみると基準額の決め方が異なり、数百~一千万円以上の差が出る可能性がある。
死亡事故の訴訟では、解決が長引いたことに対する遅延損害金を請求することが可能である。訴訟前でも調整金として支払いを認めた例もある。
ご家族が死亡事故に遭われると、正常な判断ができなくなる可能性があります。抜けのないよう、損害賠償を全て請求するためにも、その種類についてはしっかりと把握しておく事が大切です。