死亡事故で事故と死亡事実との因果関係の証明が困難な時には
死亡事故が発生し、事故から数時間以内に死亡した場合には、交通事故が死亡原因であったことは明らかであり、当然、加害者側に賠償責任が生じます。
しかし問題となるのは、死亡事故から数十日、数ヶ月、1年といった期間の後に被害者が死亡した場合です。
本人や遺族としては「これは死亡事故だ」という思いがあったとしても、時間が経過するほど事故と死亡事実との因果関係の証明は難しくなります。
因果関係の有無とはすなわち、「療養ののち死亡した事実に対して加害者に責任を負わせることが妥当かどうか」を指します。
交通事故による後遺障害に苦しんだ被害者が辛さのあまり自殺してしまった場合、その根底には事故という原因があったとしても、自殺するか否かは被害者本人の性質によると考えられます。
この場合原則的に「因果関係はない」とみなされ、加害者に賠償責任は生じません。(なかには因果関係を認めた事例も存在します)
病気を併発した場合の因果関係について
よく見られるのが、交通事故をきっかけとして他の病気を併発し、その結果被害者が死亡するという事例です。
なかでも体力が低下している高齢者が被害者の場合に多く、発生した病気や状況などによって事故との因果関係が認められるかどうか、認められる場合には損害の算定にどれだけ影響しているかが検討されます。
例として、高齢者が事故に遭ってから1年後に、肺炎と呼吸不全によって死亡した件では、事故との因果関係を認め、死亡事故としたうえで、高齢であったことによる抵抗力・免疫力の低下を加味し、死亡損害の30%が減額されました。
事故発生から24日後と比較的期間が空かないうちの死亡であっても、直接的な原因は既往症である心臓弁膜症の投薬中止からくる全身状態の悪化であるとし、損害の50%が減額されたケースもあります。
一方、事故発生から長期間経過していても因果関係が認められた事例も存在します。
交通事故による外傷性クモ膜下出血、頭蓋骨底骨折などで後遺障害等級1級3号に認められていた方が、事故から2年半後、症状固定より9ヶ月後に肺炎を起こして死亡したというケースです。
このように因果関係が争点となって、加害者側の保険会社から「事故との因果関係はない」と言われた場合であっても、弁護士に依頼することで因果関係を立証でき死亡事故として認められ、数千万円の賠償金が支払われた例があります。
悔いのないよう、専門的知識で困った場合にはその道のプロである弁護士に相談してみることが大事です。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
保険会社が提示する損害賠償金額は、自賠責基準とほとんど差がない。死亡事故の場合の自賠責基準と弁護士基準について見てみると基準額の決め方が異なり、数百~一千万円以上の差が出る可能性がある。
死亡事故の対応をご遺族で処理するのではなく弁護士に任せる事で、損害賠償金額が増えたり、各種手続きの手間が省けたりと、様々なメリットがある。
司法書士だと140万円までの死亡事故で簡易裁判所までしか扱えず、保険会社も争ってくるケースが多いので、死亡事故の示談の依頼をするならば弁護士一択になる。
死亡事故で亡くなった人と特に親しい近親者は、近親者慰謝料を請求できる可能性があるが、近親者慰謝料を請求するには、精神的な苦痛を受けたことを実証する必要があるため、弁護士に相談するほうが良い。
交通死亡事故でひき逃げや飲酒運転、証拠隠滅など加害者に悪質な事由がある場合、慰謝料が増額された判例がある。賠償金額が大きく違ってくる可能性があり、交通死亡事故に強い弁護士へ相談すべきである。