死亡事故で歩行者の過失が大きいと言われてしまったら?
父は認知症をわずらっていて、家族の目をかいくぐっては、家を抜け出して徘徊していました。
先日の夜、家を抜け出して村道の真ん中に横になって寝ていたところを、軽トラックに轢かれて死亡しました。
死亡事故の相手は村で良く知っている間柄で、損害賠償金については、お互いに直接話し合うのは気が引けるので、保険会社を通すことになりました。
私たち家族は、死亡事故だから相当高額の損害賠償金が支払われるものと思っていました。
しかし保険会社は、死亡した被害者の過失が大きいことを理由に、損害賠償金を大幅に減額すると言ってきました。
歩行者が夜間、路上に横臥していたことが原因で発生した交通事故の場合、歩行者の過失割合は5割ですので(昼間の場合は過失割合3割)、本来支払われるべき損害賠償金は、原則として5割減額されます。
歩行者に交通事故発生の原因がある場合
人対車の交通事故は、車が100%悪いとは限らず、事故が起きる原因が歩行者側にもあった場合、過失割合があるものとみなされます。
道の真ん中に横たわっていたら、たとえヘッドライトを付けていても車の運転者にしてみれば、そこに人間がいることに気づきにくいものです。
ですので、夜間に道路の真ん中に人が横たわるもしくは四つんばいや座り込みなどの姿勢を取っていたことが原因で車にひかれた場合、歩行者の過失割合は5割が基本です。
事故が起きた道路が幹線道路だった場合は、歩行者の過失割合はさらに1割~2割アップします。
つまり、歩行者の過失割合は最大で7割にも及ぶ可能性があるということです。
死亡事故発生現場が住宅街や商店街だった場合は、車の運転者の過失が1~2割増えます。
さらに、被害者が児童(6歳以上13歳未満)もしくは高齢者(おおむね65歳以上)の場合、車の運転者の過失が1割増えます。
先ほどのケースでは、過失割合を理由に損害賠償金を大幅に減額されたということですが、死亡事故の現場を調査し、加害者にさらなる過失がなかったかどうか調べることで、被害者の過失割合を減らせる可能性があります。
交通死亡事故に詳しい弁護士に相談して、事故の詳細な検証を行い、正当な金額の賠償金を要求することをお勧めします。
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死亡事故では、加害者と被害者遺族間で、過失割合でもめることが多く、わずかな過失割合の差で金額が大きく変わるため、紛争となることもある。
死亡事故は、傷害事故と違い被害者が意見を述べることができないため、過失割合に納得できない遺族は、弁護士に事故を調査してもらって正しい過失割合を主張するほうが良い。
ご家族が死亡事故に遭われると、正常な判断ができなくなる可能性があります。抜けのないよう、損害賠償を全て請求するためにも、その種類についてはしっかりと把握しておく事が大切です。
死亡事故の民事裁判となった場合、加害者側は損害賠償金の遅延損害金も併せて支払わなければいけなくなる。
死亡事故で加害者に損害賠償能力がない場合、被害者遺族が十分な損害賠償金を得られないことがあるが、加害者が自動車保険に加入していたのならば、その保険会社に請求できる。