死亡事故の被害者に過失があるという事に納得できない時は?
交通事故は、故意に人をひき殺そうとしない限り、加害者と被害者の双方に過失があります。
しかし、常に安全運転をこころがけ、40年間無事故無違反だった方が死亡事故で亡くなり、しかも過失が9割だと言われては、納得できないという方のほうが多いのではないでしょうか?
とある死亡事故で、夜間に青信号で交差点を通過中に、被害者の車の直前を猛スピードで右折してきた対向車が、右折しきれずに衝突したというケースがありました。
警察から事故の状況について説明を受ける限り、被害者にはまったく落ち度がないように思えます。
過失割合とは、債務の不履行に関して債権者に過失があったときに、裁判所はこれを考慮して損害賠償の責任及びその額を定めるという民法第418条に基づくものです。
つまり、被害者にも過失割合があれば、当事者同士で過失相殺をしなければならないということです。
先ほどのケースで考えてみましょう。
直進車と右折車では、直進車が優先なので、直進車の直前を右折するのは、道路交通法違反です。
交差点内は走行速度を落として走らなければならないので、猛スピードで交差点を通過することも、道路交通法違反です。
債務を返済するために過失相殺する
ここまでは加害者の過失ですが、被害者の過失について考えてみましょう。
被害者は青信号で直進していますが、対向車線を猛スピードでこちらに向かって走ってくる車を注視することにより事故を予防できた可能性があります。
交通マナーを守らない車が次にどのような行動に出るか、たとえば、進路を変える直前にウィンカーを出しながら、もしくはウィンカーを出さずに右左折することによる危険について考えれば、速度を落としながら交差点を通過するという選択肢を選ぶかもしれません。
つまり、被害者が前方をより注意していれば事故を起こさなかったという考えが成り立つのです。
死亡事故の被害者であるといえども、事故を起こした責任の一部は被害者にあるので、債務の不履行を問われ、過失相殺により、損害賠償金の一部が相殺されます。
軽微な違反もしくは不注意により過失が指摘されて債務としての過失相殺を命じられても、納得できない人は多いでしょう。
特に死亡事故の遺族は、被害者の話を聞けないのでいらだちがつのるばかりです。
そのような時は、悔いを残さないよう、弁護士に相談しながら正しい過失割合の認定に向けて行動を起こしてください。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
死亡事故の場合、警察・裁判所・保険会社が死亡事故の遺族の味方とならず、遺族が第二の被害者となるケースもあるため、早目に弁護士に相談をするとよい。
死亡事故の遺族が加害者と会えない場合には、刑事裁判の被害者参加制度を利用したり、加害者の裁判を傍聴したりといった方法があるため、弁護士に相談をして様々な方法を探るとよい。
死亡事故の民事裁判となった場合、加害者側は損害賠償金の遅延損害金も併せて支払わなければいけなくなる。
死亡事故の相続人が未成年者の場合には、特別代理人が未成年者の代わりに相続の手続きを行う。特別代理人は相続に関係のないものから、裁判所が認定する。
死亡事故で弁護士を雇う利点は、公的な手続きを代行してもらえる、加害者側の交渉を任せられるので直接会わずに済む、保険会社と交渉して保険金の増額が望めるなどがある。