死亡事故で起こり得る遺族間の意見の食い違いについて
死亡事故の示談は被害者本人が死亡しているために、遺族が加害者側と行うことになります。
ここでよく問題となるのが、遺族の意見が揃わないということです。
死亡事故の場合、法定相続権を持つ全員に損害賠償請求権があるため、法定相続権を持つ者が多くなればなるほど、話がまとまりにくくなります。
『兄弟同士の仲が悪い』、『親子で絶縁状態である』『死亡事故の被害者が結婚はしているが子がいないため、配偶者と被害者の親で意見が対立する』といった話に枚挙にいとまがないです。
また、『死亡事故の被害者の前妻と現妻の両方に子供がいる』、『独身の被害者の両親や兄弟はすでに亡くなっており、相続人が複数の兄弟の子(被害者から見て甥姪)で、お互い面識がない』と、相続人同士のつながりが希薄であったり、場合によっては存在すら知らなかったりするということもあります。
死亡事故の場合、戸籍謄本を取得して相続人が誰であるか確認しますが、『夫に認知した子がいたなんて…。』と死亡事故で初めて妻が知って、相続が泥沼化することがあります。
基本は全員の同意が必要
死亡事故の示談の場合、加害者側の保険会社は遺族の代表と示談交渉することを望みます。
そのため、『示談交渉を妻の○○に一任します』といった代理人選出届を、他の法定相続人からもらうように言ってきます。
この時に書類をすんなりもらえればよいのですが、親族間の確執から難航することがあります。
ひどい例では、死亡事故の被害者の妻と子が前妻の子に対して、死亡事故の慰謝料と相続の放棄を迫るといったこともあります。
長年、被害者と前妻の子と交流が無いとしても、法律的には相続権がありますので、脅迫等で遺産放棄させるのはれっきとした罪になります。
遺族で意見が合わない場合に問題のひとつになるのが、『時間の壁』です。
法律では『法定相続人が自分が相続人であると知ってから3か月が経過した場合、単純相続したものとみなす』とされているため、3か月が経過してしまうと法定相続割合で相続されたものとみなされます。
また、死亡事故の示談の時効は死亡事故の翌日から3年です。
(治療後亡くなった場合は、死亡日翌日から3年)
そのため、『相続人同士の意見がまとまらず、言い争っているうちに時効が来てしまい、加害者に請求できなくなる』ということがあり得ます。
どちらの場合も、法律にのっとった手続きを取れば延長は可能ですが、手続きが煩雑なだけでなく法律の知識も必要となるため、弁護士の手助けが必要となってきます。
他にも相続人同士で紛争となり法廷闘争となった場合、解決により時間がかかるため、早い段階で弁護士に介入してもらい、相続人同士の円滑な話し合いを進めてもらい、加害者と示談に臨むとよいでしょう。
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家族が死亡事故に遭った場合、加害者や加害者側の保険会社との示談交渉のほかに、法律関係の手続きや死亡事故の裁判、遺族の内紛などの問題があるので、弁護士に依頼する利点が多い。
加害者が補償内容の充実している保険に加入していないと、死亡事故の被害者遺族が弁護士に依頼しても、十分な損害賠償金が支払われないことがある。
弁護士に依頼すれば、交通事故による死亡事故の賠償金は裁判所基準で請求できるため、時間はかかってしまうものの、訴訟を起こすことで数千万円の増額が期待できる。
死亡事故によって残された遺族は高額な保険金を受け取ると、相続問題や金銭問題が発生する事が多いため、それを予防するためにも事前に弁護士に相談しておく方が良い。
死亡事故の対応をご遺族で処理するのではなく弁護士に任せる事で、損害賠償金額が増えたり、各種手続きの手間が省けたりと、様々なメリットがある。