死亡事故の慰謝料・・・本当のところはいくら貰える?
交通事故現場で死亡が確認された死亡事故の場合、加害者もしくは加害者側の保険会社から支払われる金銭の内訳は、葬儀代・逸失利益・慰謝料の三つになります。
(死亡事故でも病院に運ばれ治療された後に死亡が確認されたり、搭乗していた自動車が損傷した場合には、それぞれに治療費・自動車修理代なども発生します。)
中には「加害者に対して慰謝料を請求する!」と言われる方もいますが、実際には慰謝料だけでなく、全てをまとめて「保険金」と言う形で請求するのが一般的です。
自賠責保険の慰謝料の上限基準は、被害者本人には350万円、死亡事故時の遺族が1名の場合は550万円、2名の場合は650万円、3名以上の場合は750万円が支払われます。
被害者に妻や未成年の子供・収入のない両親など、被扶養者がいるときはさらに200万円が加算されます。
つまり、妻と子・両親を扶養していた男性が死亡した場合、350万円+750万円+200万円=1250万円が、自賠責保険が支払う慰謝料の上限となります。
親も子供もおらず、お互い収入が同じほどの共働き夫婦では、350万円+550万円=900万円となります。
こうしてみると、死亡事故にもかかわらず自賠責保険の慰謝料がさほど高くないことが分かります。
裁判になると大きな開きが
保険会社は独自の慰謝料の計算をしますが、多くの場合自賠責保険の上限とあまり変わらない慰謝料を申し出てくるので、自賠責保険とほぼ同額か10~20%増くらいと思っておいた方が良いでしょう。
一方、裁判の事例をみると、死亡事故の被害者が一家の収入の中心であった者で2800万円、母親や配偶者で2400万円、独身の子や乳幼児などで2000~2200万円が一般的な死亡事故の慰謝料の基準となります。
裁判の判決により基準より上下することはありますが、自賠責保険の上限からすると大きな開きがあります。
さらには、逸失利益に関しても保険会社は低く算出するため、保険金のトータルをみても、保険会社が初めに提示してくる金額と裁判所基準の金額とでは、時として3倍以上、数千万円の開きが出ることも少なくありません。
弁護士に死亡事故の保険金に関して相談に来られた方の中には、「保険会社から言われた保険金が少ないとは思っていてけど、ここまで差があるとは思っていなかった。」と驚かれる方もいます。
慰謝料請求権は死亡事故の遺族の立派な権利であるため、正当な金額を受け取るためにも、弁護士を通じて保険会社に請求をした方が良いでしょう。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
加害者が補償内容の充実している保険に加入していないと、死亡事故の被害者遺族が弁護士に依頼しても、十分な損害賠償金が支払われないことがある。
専業主婦の死亡事故でも、賃金センサスにおける逸失利益の計算が裁判でも認められ補償が支払われるが、保険会社が提示する示談金と大きな差が生じることがある。
死亡事故の相続人が行方不明の場合には、示談交渉で問題が起こることが多くあるので、死亡事故が起こったら速やかに故人の戸籍を調査する方が良い。
交通死亡事故で相手側の損害保険会社と交渉する場合、冷静さを保ち話し合う必要があるが、それが無理だと感じたら弁護士に依頼をした方が良い。
二輪の死亡事故の場合、自動車保険の扱いが四輪と異なることもあるため、分からないようであれば、交通事故に詳しい弁護士に相談した方が良い。