死亡事故において遺族が行方不明の場合にはどうすればいい?
核家族化や生涯未婚者の増加、離婚率の上昇から、死亡事故の被害者のご遺族がいないといったケースがあります。
正確には、遺族が見つからないといった方が良いのかもしれません。
死亡事故の被害者が結婚もしておらず子供もいなくて、両親がすでに亡くなっており、一人っ子で兄弟もいないといったケースは、ある意味分かりやすい『遺族がいないケース』になるのですが、その他の理由で遺族が見つからないといったケースもあります。
まず一つは遺族が行方不明になっているケースです。
家出や天変地異に巻き込まれたなどで、戸籍や住民票では生きていることになっていても、生存が確認できないケースです。
家出や天災に巻き込まれたといったケース以外にも、引っ越しを繰り返しているのに住民票の移動をしておらず、連絡が取りづらいといったケースもあります。
二つ目は、離婚などで親子が疎遠になっていたり、場合によっては親子や兄弟であることを知らないといったケースです。
離婚した後、母親が父親の事を一切教えず、父が死亡事故で亡くなって初めて子が父親の名前を知るといったケースや、父が再婚していて異母兄弟がいることが死亡事故後に発覚するといったケースもあります。
死亡事故の連絡は早急に
死亡事故被害者の遺族に行方不明者や連絡がつかないといった人物がいると、遺産相続で問題が生じるというのは想像に難くないでしょうが、死亡事故の示談交渉にも支障が出る可能性があります。
基本的に死亡事故の示談交渉権は遺族全員が有するのですが、保険会社は窓口となる人を1人選定して欲しいと要求してきます。
例えば死亡事故の遺族が、妻・長男・次男・長女といった場合、妻か長男のどちらかが代表して保険会社と示談交渉します。
もしここで次男が家出をして行方不明であった場合、『示談金を受け取る権利はあるのに、いないため宙ぶらりんの状態』になる可能性があります。
この場合、行方不明の次男を探し出して連絡を取るのが一番良い方法なのですが、どうしても見つからない、もしくは生存しているのは確かなのだが連絡が取れないという状況によって対応策が変わってきます。
天災などで生死が不明の場合には失踪届を出して、裁判所に失踪宣告をしてもらう必要があります。
通常の失踪で7年、船の沈没や震災など危難失踪の場合は1年で死亡したとみなされるため、『次男が失踪して10年経ってから、父親が死亡事故に遭った』というような場合には、失踪してから7年目に死亡したとみなされるため、父親の死亡事故の示談交渉権はないものとされます。
また、生存している可能性が高いのだが連絡が取れないといったケースでは、次男の代理人を立てて示談交渉を行う必要があります。
このケースでは法定割合以下の遺産の分割は許されていないため、生死不明であっても次男分の1/6の示談金は保管しておかなければいけなくなります。
もう一つの注意が、失踪宣告をされて死亡扱いになっていても、その後生存が確認できた場合は相続権が復活するので、次男に1/6の示談金を渡さなければならないため、「もらった示談金は使い切ってしまったので、次男に渡す分がない」と言っても、法的には渡さなければいけないので、後々困ったことになります。
そのため、死亡事故が起こった場合には、個人の戸籍を早急に調べる必要性があります。
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自賠責では死亡事故の保険金支払額の上限が3000万円で、損害賠償金額がそれ以上であっても示談金を3000万円ほどしか提示してこない保険会社が多いため、事前に弁護士に相談をしておくとよい。
家族が死亡事故に遭った場合、加害者や加害者側の保険会社との示談交渉のほかに、法律関係の手続きや死亡事故の裁判、遺族の内紛などの問題があるので、弁護士に依頼する利点が多い。
死亡保険の請求権は法定相続権のある人だが、請求権者が複数の場合には代表した一人が保険会社との示談交渉を行う。
死亡事故の遺族間で示談の意見が合わない場合には、早い段階で弁護士に介入してもらう方が、円滑に話し合いがすみ、加害者との示談交渉に臨める。
加害者が補償内容の充実している保険に加入していないと、死亡事故の被害者遺族が弁護士に依頼しても、十分な損害賠償金が支払われないことがある。