遷延性意識障害の5割は交通事故で発症している?
遷延性意識障害の患者さんの約5割は、交通事故が原因とされています。
その他に、以下のような原因によって遷延性意識障害を発症します。
・脳の病気:脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血
・心臓の病気:心筋梗塞
・強度の打撲:脳の打撲の他にも、胸部を強打したために発症することがあります。
・毒物:服毒も発症の要因となり得ます。
・酸欠:一酸化炭素中毒、プールや海で溺れるなどして脳に十分な酸素がいきわたらなくなると発症することがあり、脳が数分間酸欠状態になっただけで遷延性意識障害を発症する可能性が高くなると言われています。
脳には酸素を備蓄する機能がなく、血流によって酸素やエネルギーの供給を受けているので、酸欠で脳に十分な酸素が届かなくなると、極めて短時間で脳が活動を停止してしまうのです。
なお、素潜りの達人が何分間も海に潜れるのは、呼吸を止めて肺の中の空気を利用しているからです。
発病原因の第1位が交通事故の理由
交通事故に遭うと、歩行者は体を強打して転倒したり跳ね飛ばされて道路や建造物にぶつかり、その際にしばしば頭部を強打します。
車に乗っている人が加害車両に衝突されると、エアバッグがあっても衝突の衝撃が強ければ、頭や体が車体にぶつかったりのめりこんだりします。
歩行者や車の運転手、同乗者はヘルメットをかぶっていませんから、頭部への衝撃には極めて弱く、交通事故による強刺激は、脳を損傷して遷延性意識障害を発症する可能性が極めて高いのです。
ものにぶつかった時の衝撃力(運動エネルギー)は、速度の2乗に比例し、E(エネルギー)はmv(物質の質量と速度)の二乗で表わされます。
時速60キロで走行する車の衝撃力は、時速30キロで徐行している車の4倍になり、コンクリート壁に時速60キロで衝突する衝撃力は、ビルの5階から落下した時と同じです。
衝突の衝撃は、車のスピードが速く、車の重量が重いほど大きくなり、衝突された側の人や車も動いていた場合は、その運動エネルギーが加わるので、さらに衝撃が大きくなります。
人身事故で身体を強打した場合の救命救急は1分1秒を争うといっても過言ではありません。
また先進医療や新薬のはなばなしいニュースが世間を驚かせる一方で、遷延性意識障害の患者数は増え続けており、国による全国統計はありませんが、推定で4万人くらいの患者がいると言われています。
現状では、確固たる治療法が確立していないことや、専門医の不足などが、遷延性意識障害患者の治療を困難にしています。
交通事故で家族が遷延性意識障害となった場合、患者家族の負担はかなり重くなります。
介護の問題だけでなく、金銭的な問題も付きまといますので、適切な対応をしていくにあたって弁護士に依頼しての対応は欠かせません。
まずは弁護士に相談をしたうえで今後の対応を考えていくのがおすすめです。
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交通事故が原因の遷延性意識障害患者は、長期入院や施設入居が難しく、自宅介護を選ぶケースは多い。近親者介護、職業介護人の雇用、もしくは組み合わせも可能で、それにより損害賠償額の基準が変わる。
遷延性意識障害の自宅介護のためにリフォームする場合、リフォームの箇所が認められなかったり、加害者側がリフォーム費用を支払ってくれないといったケースがあるため、事前に弁護士に相談をした方が良い。
遷延性意識障害患者を自宅介護する場合、家族だけが介護をするのではなく、職業介護人を用いてする方が負担が軽くなり、費用は加害者側に請求することが出来る。
交通事故が原因で遷延性意識障害となった後は、ご家族あるいはヘルパーにおける介護が求められる。将来的に介護をしていく上でいくつかの注意点がある。
遷延性意識障害患者を自宅介護する場合には、定期的な受診が必要になってくるが、適切な受診が受けられないこともあるので、退院前に介護計画を念入りに立てる必要がある。