遷延性意識障害患者における褥瘡の予防方法について
遷延性意識障害患者の介護では褥瘡(じょくそう)が問題となってきます。
褥瘡とは『床ずれ』とも言われており、同じ姿勢で寝続けたことにより、床と接着していた皮膚部分の血行が悪くなり、皮膚が変色したり、皮膚細胞が壊死して傷となってしまったりすることをさします。
褥瘡を防ぐためには定期的な体位を変える事が必要で、一度褥瘡が出来てしまうと治療が必要になってきます。
遷延性意識障害患者の場合は、自力での体位の変更が出来ないため、介護者による体位の変更が不可欠になってきます。
施設などでは基本的に2人の介護者で体位変換するのですが、自宅介護の場合などで介護者は1人しかいない場合には、少しずつ体位を変える必要があります。
また、褥瘡予防・管理ガイドラインでは、基本は2時間を超えない間隔での体位変換が必要とされており、粘弾性フォームマットレスや上敷二層式エアマットレスなどを使用する場合には、体位変換の間隔は4時間を超えない範囲で良いとされています。
自宅介護の場合にはベッド・マット選びが重要
病院や介護施設であれば、褥瘡の予防に気を付けていますし、褥瘡の予兆が出た場合には、治療が行われます。
遷延性意識障害患者を自宅介護している場合には、2時間、もしくは4時間ごとの体位変換が困難であるため、医療施設よりも褥瘡が発生しやすくなります。
遷延性意識障害患者が糖尿病や脊髄損傷などの持病がある場合には、褥瘡となるリスクがより高まるため、頻繁な体位変換が必要となります。
しかし、介護者が1人の場合には、2時間ごとの体位変換は介護者の睡眠時間が確保できないといったことが起こるため、夜間は職業介護人などを雇う必要があります。
体位変換の負担を減らすために、ベッドやマットレスを特殊なものにするという方法もあります。
ベッドの中には、ベッドの底面が自動で動く『自動寝返り支援ベッド』や、エアーマットで中のエアーの加圧を調整して体圧の分散を行いつつ体位変換するものもあります。
個人で購入できるものやレンタルが出来るものもあるため、自宅介護を検討している場合には、普通のベッドではなく体位変換機能のあるベッドを用意した方が、介護者の負担が少なくなります。
交通事故による遷延性意識障害の場合には、加害者に対して将来的な介護費用を請求できるため、これらのベッド・マットレスの購入・レンタル費用を請求することができます。
保険会社によっては高額ということで支払いを拒否することもありますので、事前に弁護士に相談をしてから、請求するとよいでしょう。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
遷延性意識障害患者を自宅介護する場合、家族だけが介護をするのではなく、職業介護人を用いてする方が負担が軽くなり、費用は加害者側に請求することが出来る。
遷延性意識障害の自宅介護のためにリフォームする場合、リフォームの箇所が認められなかったり、加害者側がリフォーム費用を支払ってくれないといったケースがあるため、事前に弁護士に相談をした方が良い。
遷延性意識障害患者を自宅介護する場合には、おむつ以外にも衛生管理用品が必要となり、費用が負担となる事がある。弁護士に示談を頼んでおけば、そういった費用も含めて請求をしてもらえる。
遷延性意識障害患者の生活費を控除されると賠償金が減る。不当な計算方法で賠償金が減らなように家族が交通事故により遷延性意識障害となった場合には、弁護士に相談するのが望ましい。
交通事故が原因の遷延性意識障害患者は、長期入院や施設入居が難しく、自宅介護を選ぶケースは多い。近親者介護、職業介護人の雇用、もしくは組み合わせも可能で、それにより損害賠償額の基準が変わる。