遷延性意識障害となった際に患者家族が介護していくためには
遷延性意識障害の患者家族が抱える問題は、様々なものがあります。
高齢者の介護問題にも似ている部分があるのですが、大きく違うのは交通事故による遷延性意識障害の場合、いきなり交通事故に遭うため介護の心構えが全くない状態から介護に直面することと、交通事故の加害者との交渉や家族が遷延性意識障害となったことの心理的な負担という予想外のストレスに悩まされる事、家計の大黒柱が交通事故に遭った場合には交通事故直後から経済的困難な状態に陥る事もあります。
脊髄損傷患者の事を一番に考えることが必要でありますが、患者家族がそれにより多大な犠牲を支払わなければいけないのでは、介護を続けていくことは難しくなります。
患者家族にとって一番必要な物は、『相談できる相手』になります。
治療関係ならば医師や看護師に相談しますが、公的な医療制度や助成制度を利用する場合には役所や健康保険組合、病院のケースワーカーになります。
また、実際の介護については介護施設や訪問看護施設の職員と連携を取りながら、行うことが多いです。
遷延性意識障害では法律的に成年後見人の選定が不可避で、成年後見人が加害者と示談交渉を行うため、家庭裁判所への成年後見人の申請や示談交渉は弁護士の手を借りながらする方が患者家族の負担が減ります。
相談先を増やすことが介護を続けていくコツ
こう見ると相談すべき先が多すぎて遷延性意識障害患者家族からすると、気疲れしてしまう事もあるでしょうが、逆に相談先が多い方が利点が多くあります。
家族が介護する場合、一番多いのが『自宅で長男の嫁が介護する』という問題です。
長男の嫁とは限りませんが、同居する家族のうち妻や子の嫁といった女性が介護することが多いです。
自発的に妻や子の嫁が「自宅で介護します。」と言う分にはまだマシなのですが、夫や別居している親族から「同居している女性が介護しないとか、患者がかわいそう。」と、自分は実際に介護しないのに口だけは出してくるようだと、最悪介護人が倒れてしまったり、離婚して出て行ってしまったりするケースもあります。
しかし、医師や訪問看護の職員・弁護士から、「自宅での介護は無理があります。」と言ってもらえれば、専門家からの意見なので納得してもらえる可能性が高まります。
また利点の一つに多くの人から意見が聞けるので、思わぬ解決方法や自分にあった解決方法が見つかる可能性が高くなる点です。
仮に自宅での介護を希望しているのに、医師から「自宅での介護は無理です。」と言われた場合、多くの人は自宅での介護をあきらめてしまうと思います。
しかし、訪問看護職員や交通事故に詳しい弁護士ならば、「同様のケースで自宅での介護をしている家族がある。」など、制度を利用して自宅介護をする方法を知っていることもあります。
他にも、経済的な困窮や将来の介護費用についての示談は、弁護士が将来的な事を見越して示談交渉してくれるだけでなく、加害者から仮払金を受けとったり自賠責保険を被害者請求で先取りしたりと、経済的な不安を軽減してくれます。
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交通事故により遷延性意識障害となった場合、自宅介護を認められるにはいくつかの条件がある。裁判で認められて適正な介護費用を提示されるためには、弁護士に依頼するのもひとつの手である。
遷延性意識障害患者の中には、人工呼吸器が必要となる人もいる。人工呼吸器が必要な遷延性意識障害患者の自宅介護は、かなり重篤なレベルとなるので、それを踏まえて家族は検討する必要がある。
聴覚は五感の中で最後まで遷延性意識障害患者が認識できる器官と言われているため、音楽や声などを患者に聞かせることにより、脳を刺激して活発化させると考えられている。
遷延性意識障害で口から食事をしない場合でも、口内の洗浄を怠ると口内の細菌が増えたり、カビが生えたりするため、毎日の口腔ケアが必要である。
遷延性意識障害患者の将来的な介護費用は若年の患者であるほど高額となるため、将来的な介護プランをきちんと立ててから、加害者側に請求を行った方が良い。