専業主婦が遷延性意識障害となっても逸失利益は認められる?
家族の誰であっても交通事故に遭うのは一大事ではありますが、専業主婦、特に世話が必要な幼い子供や介護が必要な高齢者がいる家庭の専業主婦が遷延性意識障害となった場合、通常に比べて問題が多くなる傾向があります。
妻であり母である女性が一人で家事を担っていたため、炊事・洗濯・掃除をするのもままならないというのはよくある話です。
そのほかにも、電気水道ガスなどの公共料金の支払い・加入していた保険会社の引き落とし、税金の支払い、町内会やマンションの管理組合との付き合いなど、こまごました日常生活のものも全て一から調べ直して担わなければいけません。
先に述べたように、養育が必要な子供や介護が必要な家族がいた場合、遷延性意識障害となった妻の介護とともに、今までは仕事一辺倒だった夫一人に家事や介護などの負担が集中してしまい、結果として夫が仕事を辞めてしまったり、肉体的にも精神的に追い詰められるケースがよくあります。
弁護士を交えた示談交渉で患者家族の負担を減らす
遷延性意識障害となった妻の夫で、養育が必要な子供の家政婦費や介護が必要な家族や妻のホームヘルパー費用を保険金からねん出して、自分は仕事を続けようと考えることはよくあります。
しかし、示談交渉となった際に保険会社は、「専業主婦は仕事をしていないので、逸失利益はない。同居家族の介護費用までみられない。」など、弁護士からすれば看過できないようなことを言われ、不当に低い示談金を受け取ってしまうケースがあります。
専業主婦であっても、サラリーマンのような給与所得者と同じく逸失利益の補償はありますし、遷延性意識障害となった者が養育や介護を主体となってしていたと認められれば、そちらの費用も保険会社に請求することが出来ます。
また、夫が仕事を続ける場合、遷延性意識障害の妻の治療費や介護費用などを保険会社に請求できますが、仕事を辞めて妻の介護に専念する場合でも、仕事を辞めたことによる夫の逸失利益や家族による介護費用として補償されることもあります。
さらに、夫が妻の介護に専念するとしても、専門の職業介護人を週に数回のペースで雇うことも裁判で認められるケースもあるため、「毎日介護に追われて気が休まる時がない。」という介護疲れを軽減させることが出来ます。
交通事故に遭われた方が専業主婦であっても、保険会社に請求できる項目は多数あるため、弁護士を通じて保険会社と交渉することをお勧めいたします。
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交通事故が原因の遷延性意識障害患者は、長期入院や施設入居が難しく、自宅介護を選ぶケースは多い。近親者介護、職業介護人の雇用、もしくは組み合わせも可能で、それにより損害賠償額の基準が変わる。
遷延性意識障害患者を在宅介護する場合、保険会社が介護費用の支払いに抵抗することがあるので、弁護士と相談して在宅介護の必要性を立証すると良い。
遷延性意識障害の患者を自宅で家族が介護する場合、家族による介護費用の補償がされることがあるが、絶対的なものではないため、示談前に弁護士に相談をするほうが良い。
交通事故で遷延性意識障害を負った場合、施設介護か自宅介護かの選択は難しい。弁護士に依頼すれば自宅介護を選択するにあたって問題を段階的にクリアしていける。
交通事故で遷延性意識障害になった場合、保険会社は遷延性意識障害患者の余命を平均余命より短く計算して賠償金額を計算するので争点になりやすい。