遷延性意識障害での介護保険の仕組み
交通事故で遷延性意識障害となった場合、患者に対してあらゆる面での介護が必要となります。
病院などの医療機関に入院や入所している間は、医師や看護師・療法士の方々が治療や介護をしてくれますが、退院後自宅療養する場合には同居する家族が介護を一手に引き受けることになります。
しかし、家族だけで遷延性意識障害の患者を介護するのは荷が勝ちすぎることもあり、ホームヘルパーなどの職業介護人を雇ったり、訪問入浴などの介護サービスを利用されることが多いです。
ですが、職業介護人を雇ったり、介護サービスを受けるのには費用が掛かるため、「介護保険が使えれば…」という声を聴くことがあります。
40歳以上の会社員などの方ならば、給料などから介護保険料が天引きされているため、聞き覚えがあると思います。
介護保険では65歳以上の人を「第1号被保険者」、40~65歳未満を「第2号被保険者」と言います。
第1号被保険者は、日常生活を一人で行うのが困難と判断された要介護認定、要支援認定を受けている人のことをいいます。
そのため認知症や高齢による身体の衰えなどで、比較的認定されやすいと言えます。
交通事故の遷延性意識障害の患者は大部分使えない
では、第2号被保険者はと言うと、「特定疾病がある人」と言うのが条件の一つとなっています。
しかし、遷延性意識障害は特定疾病として認められていないため、介護保険を使うことができません。
これは以前からも問題とされていたもので、「遷延性意識障害となった場合、65歳以上の高齢者であれば介護保険が使え、20歳以下ならば小児医療として扱われるため手当がある。それなのに20~65歳の間は介護保険が使えないため、介護サービスが使えない。」と、遷延性意識障害の家族から不満が寄せられています。
遷延性意識障害の家族会が中心となって、介護保険の利用の許可や独自の介護サービスの補助を訴えていますが、未だ現実とはなっていません。
そのため、家族が交通事故により遷延性意識障害となった場合には、「65歳まで介護保険は使えない」と言う事を前提として、職業介護人や介護サービスの実費の請求をする必要があります。
特に、遷延性意識障害の患者の年齢が若い場合には、40年以上介護が必要となる事もあるので、それだけでも莫大な金額になるのが分かります。
ですが、一般の方が将来的にどのくらいの介護費用が必要となるか計算するのは難しいので、交通事故に詳しい弁護士に算出してもらうのが確実だと言えます。
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遷延性意識障害患者を自宅介護する場合、家族だけが介護をするのではなく、職業介護人を用いてする方が負担が軽くなり、費用は加害者側に請求することが出来る。
交通事故が原因で遷延性意識障害となった後は、ご家族あるいはヘルパーにおける介護が求められる。将来的に介護をしていく上でいくつかの注意点がある。
遷延性意識障害患者は褥瘡が起きやすいため、交通事故で家族が遷延性意識障害となった場合、褥瘡予防効果のあるベッドやマットレスを用いると、体位変換の介護が容易になる。
遷延性意識障害の患者を自宅介護する際にはヘルパーの存在が欠かせないが、多くの場合雇い入れる費用は自己負担である。
遷延性意識障害の自宅介護のためにリフォームする場合、リフォームの箇所が認められなかったり、加害者側がリフォーム費用を支払ってくれないといったケースがあるため、事前に弁護士に相談をした方が良い。