遷延性意識障害でヘルパーを雇う際の注意点
遷延性意識障害の患者を自宅で介護する際に、検討しなければいけないことの一つに介護ヘルパーの問題があります。
家族だけで遷延性意識障害の患者の介護をするのは限度があり、介護する家族の身体や精神的な負担を減らし、休息できる時間を確保することを考えると、ヘルパーの雇い入れは必須事項とも言えます。
一口にヘルパーと言っても幅があり、食事を作ったり、洗濯をするなどの家事を行うヘルパー、入浴介護や体の清拭をするヘルパー、病院に行く際に送迎を行うヘルパー、遷延性意識障害の患者が夜寝ている時に見守りとして巡回するヘルパーなど、多岐に亘ります。
そのため、ヘルパーをうまく利用すれば、大幅な負担の減少になりますが、全く問題がないわけではありません。
ヘルパーを雇う際の問題点について
ヘルパーを雇う際の問題として、費用の面があります。
サービス内容により費用は違いますが、お金がかかると言う事は避けて通れません。
特に、20~64歳までは介護保険などの公的な補助が使えないため、すべて実費を負担しなければいけません。
また、ヘルパーは医療行為に掛かる行為をすることができません。
具体的に書くと、爪切り・酸素吸入・点滴による栄養補給・点滴の針の抜き差し・インスリンなどの注射・座薬や浣腸の挿入・肛門内の便の掻き出し・人工肛門の清拭などの処置・血圧や血糖値の測定・内服薬の管理・湿布や軟膏を塗る行為・口の中の洗浄・尿道カテーテルの管理処置・目薬を差すなどがあります。
(除痰に関しては一部規制緩和により条件付きで許可されています)
これらの行為は家族がするのはOKでも、爪切りや軟膏を塗る、目薬を差すなどは日常的なお世話の範囲に入りそうなものですが、ヘルパーが行うことができません。
そのため、これらのことを頼みたい場合は、医師や看護師の資格を持つ方に来てもらうしかありません。
ですが、医療関係者に出向いてもらってこれらの行為をしてもらう場合、普通のヘルパーよりも費用が高額になります。
また、地域によっては一般的なヘルパーはいるが、地方になればなるほど往診と言った形で医療介護を行ってくれる人が少なくなるため、遷延性意識障害の家族が希望しても実質的には無理であることもあります。
また、ヘルパーの性格や力量などが遷延性意識障害の患者や家族とあうかどうかと言う点も大きな焦点になります。
やはり患者の事を大事に思い丁寧に扱ってもらえるヘルパーに任せたいと思うのが、家族の率直な意見でしょうから、ヘルパーを雇う際には何社か打診してみた方が良いかもしれません。
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交通事故の加害者側に、遷延性意識障害患者の自宅介護の費用を請求するには、患者家族がクリアしなければいけないハードルがいくつかある。
遷延性意識障害患者を自宅介護する場合、家族だけが介護をするのではなく、職業介護人を用いてする方が負担が軽くなり、費用は加害者側に請求することが出来る。
介護が必要な遷延性意識障害の患者であっても、40歳以下であれば介護保険の対象外となるため、介護保険を利用できない。
遷延性意識障害となった患者家族の中には、医療機関ではなく自宅療養を選択する人もいる。交通事故による遷延性意識障害ならば、自宅介護で必要な費用も含めて請求ができる。
遷延性意識障害の自宅介護のためにリフォームする場合、リフォームの箇所が認められなかったり、加害者側がリフォーム費用を支払ってくれないといったケースがあるため、事前に弁護士に相談をした方が良い。