遷延性意識障害患者の個室利用料は支払ってもらえる?
遷延性意識障害患者が入院していると聞くと、個室で様々な医療機器やチューブに繋がれているイメージですが、実際にはそうではありません。
交通事故直後で容体が安定しない間は、ICUや個室に入院することもありますが、容体が安定した後は一般病棟に移ることもあります。
遷延性意識障害患者の家族の方は、「遷延性意識障害となった家族の介護に専念したい」、「遷延性意識障害患者を介護している姿を他の人に見られたくない」など、様々な理由から個室を希望されることが多いです。
ですが、個室の場合は1日で1万円以上かかることも珍しくなく、1カ月入院をすると個室代だけで30万円を超えてしまう事すらあります。
では、遷延性意識障害という事で、なるべくICUに居させてもらえればと、単純に考えてしまうかもしれませんが、ICUへの入院代は1日で約13万円ととても高額で、個室代わりに使うという事は現実的ではありません。
病院側としても、容体が重篤な患者がいつ運ばれてくるかもわかりませんので、個室代わりに遷延性意識障害患者を入室させ続けるというのは、あり得ない選択だと言えます。
個室利用料を保険会社に認めさせるには要件がある
そもそも交通事故の治療は健康保険の適応範囲内でと決められていますので、個室を希望したとしても健康保険適応外として個室代は実費となります。
肺炎などの感染症に罹患し、隔離が必要なために医師の指示で個室に入るというような場合には健康保険の適応となりますが、遷延性意識障害で容体が安定している場合は、一般病棟でも治療できるとされています。
そのため、先述のような「遷延性意識障害となった家族の介護に専念したい」、「遷延性意識障害患者を介護している姿を他の人に見られたくない」といった理由では、保険会社は個室利用料を負担をすることはありません。
遷延性意識障害患者を受け入れている病院で、遷延性意識障害患者専門の病棟を供えているところでは、病室はオープンフロアーにしているところがたくさんあります。
看護師の目が届きやすいという利点のほか、人の気配や声などの外的な刺激などがあり、患者の意識回復に役立っているとの考えもあります。
交通事故で遷延性意識障害となったとはいえ、個室利用料は自費になるという事は心得ていた方が良いと言えます。
また、医師の指示により個室を利用せざるを得ない場合には、保険会社の方に「医師の判断で個室に入室している」という旨をしっかりと伝えておいたほうが良いでしょう。
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交通事故で頭部を強打して意識不明になり、遷延性意識障害となる可能性が高い人は救命救急センターに搬送されて治療を受けるが、安定期に入って3カ月経つと転院を促される。
遷延性意識障害患者の介護費用は、近親者が介護する場合には日額8,000円、看護士やヘルパーといった職業介護人に関しては実費を認めることがほとんどで、平均余命まで必要となるため高額となる。
症状固定後は加害者に治療費は請求できないが、遷延性意識障害の場合、将来的な治療費や介護費を示談時に請求することができるため、弁護士に相談するのが望ましい。
3カ月以上入院している患者に対して健康保険が病院に支払う保険点数は激減するので、遷延性意識障害の患者は、入院から2カ月以上経つと、病院側から転院を促される。
交通事故が原因の遷延性意識障害患者は、長期入院や施設入居が難しく、自宅介護を選ぶケースは多い。近親者介護、職業介護人の雇用、もしくは組み合わせも可能で、それにより損害賠償額の基準が変わる。