遷延性意識障害の介護人費用は高額になるため請求を
遷延性意識障害の場合、介護人が絶対的に必要となります。
遷延性意識障害患者が病院等に入院していて、看護士による完全介護がされている場合、看護師以外の看護は必要ではないのではと思われることがあります。
しかし、実際は病院に入院していても、病院側から遷延性意識障害患者家族の付添を要請されて、患者家族の補助なしでは健全な患者の治療が行えない場合が多々あります。
そのような場合、患者家族の負担は大きく、時として患者家族が仕事を辞めて介護にあたる例も見られます。
交通事故による遷延性意識障害の示談において、患者に対する看護の必要性については争うまでもないのですが、『誰が遷延性意識障害患者の介護をして、どれだけの看護が必要か?』ということが争点となる事が多いです。
日本では『病人の介護は家族がみて当たり前』といった考えがいまだに根深く、患者の親や子が介護の大変さから施設への入所を検討したり、介護人を雇ったりすることを周囲の人間が反対したりして、実際に介護している家族が追い込まれるということがあります。
そのため、加害者側の保険会社との示談において、遷延性意識障害患者の家族が行う介護についての費用は認めなかったり、認めても著しく低い金額であったりすることが常態化しています。
遷延性意識障害患者の看護は厚く認められている
しかしながら、判例では遷延性意識障害患者の近親者が介護する場合には日額8,000円、看護士やヘルパーといった職業介護人に関しては実費を認めることがほとんどです。
また、介護人の人数も1人だけでなく2人必要と認定された事例や、遷延性意識障害患者の親や配偶者が介護人の場合、将来介護人の高齢化で介護が行えないとのことで職業介護人の費用を認めるものもあります。
介護費用は遷延性意識障害患者が平均余命まで生存するとして計算されますので、仮に20歳で遷延性意識障害となった場合は、60年以上の介護費用を請求できることになります。
もし、一番手厚い介護を考えた際、2人の職業介護人を雇うと平均して日額30,000円ほどかかります。
日額3万円で60年となると、それだけで6億5千万円を超える金額になります。
実際に支払われる金額はライプニッツ係数をかけたものになるため、6億5千万円そのままにはなりませんが、介護費用の他に後遺障害慰謝料や逸失利益・入院雑費・自宅療養用の雑費・生命維持に対する診察費などを足していくと、かなり高額な示談になることが分かると思います。
そのため、加害者側の保険会社も保険金の支払いを抑えるのに様々な手段を講じてくるため、それに対抗するためにも弁護士に相談をして慎重に示談を進めていく必要があります。
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交通事故により負った遷延性意識障害の示談をする場合、将来的な介護も考えて交渉しなければいけないので、弁護士に相談をして示談交渉を進めるとよい。
交通事故が原因の遷延性意識障害患者は、長期入院や施設入居が難しく、自宅介護を選ぶケースは多い。近親者介護、職業介護人の雇用、もしくは組み合わせも可能で、それにより損害賠償額の基準が変わる。
交通事故で遷延性意識障害になった場合、保険会社は遷延性意識障害患者の余命を平均余命より短く計算して賠償金額を計算するので争点になりやすい。
遷延性意識障害患者の家族が自宅介護を希望しても保険会社が反対する場合には、自宅介護が行える要件を満たしているのならば、裁判所も自宅介護を認めるため、もめた場合には弁護士に相談をした方が良い。
交通事故の被害者が遷延性意識障害の場合、将来の治療費が莫大である事と、加害者側の一方的な主張が通り、被害者側が不利になる事が多いので、弁護士への相談は必須ともいえる。