遷延性意識障害で生命保険以外でも保険金が支払われるのか?
運転中の交通事故で遷延性意識障害を負った場合、多くの人が「加入していた自動車保険から、治療費が支払われるから安心」と考えるでしょうが、実はそうではないケースもあります。
自動車保険は、基本的に契約している自動車で損害を与えた人や物に対して、損害賠償として保険金を支払うので、契約車両の運転手の怪我や死亡に対しては補償しません。
ですので、車同士の事故の場合は、自分の怪我は相手の保険会社から、相手の怪我は自分の保険会社から保険金が支払われます。
しかし、保険金が100%支払われるのではなく、過失分に応じて80%だったり30%だったり、もし自分の方の過失が100%でしたら1円も支払われないことになります。
そのため、交通事故のため遷延性意識障害のような重度の障害を負っても、保険金が全くないと言う事もあり得るのです。
「交通事故で遷延性意識障害になったのに、保険金が500万円しか支払ってもらえなかった。」と、意気込んで弁護士に相談に来たものの、よくよく事故内容を聞いてみるとわき見運転の上に赤信号で交差点内に進入した衝突事故で過失割合が95%なので、弁護士からすれば妥当であることもあります。
生命保険から保険金を受け取る
では、遷延性意識障害となったのに、自動車保険からの保険金が望めない場合にはあきらめなければいけないかと言うと、場合によっては自分が加入している生命保険から保険金が支払われます。
ほとんどの生命保険には入院保険が付帯していますので、生命保険の上限日数までですが入院保障が受けられます。
しかも生命保険の種類によっては、交通事故の場合は病気の場合の日額よりも増額となっていることが多いです。
また、一般的に「死亡保険金」と呼ばれるものは、正式には「死亡もしくは高度障害に対する保険金」ですので、遷延性意識障害は高度障害に該当するため支払いの対象となります。
通常ならば入院保険を請求した時に高度障害に該当している場合には、保険会社が教えてくれるのですが、必ずしもそれが周知されているわけではないので、自ら請求する必要がありこともあります。
ほかにも、遷延性意識障害の患者が住宅ローンに付帯して団信に加入している場合には、住宅ローンの残債は団信により支払われるため、以後の住宅ローンの返済はなくなります。
金融機関によっては、団信に加入していなくても死亡や高度障害の場合は支払いを免除するオリジナルの住宅ローンを提供している場合もあるので、住宅ローンの内容も確認する必要があります。
意外と遷延性意識障害によって生命保険から支払われる保険金がありますので、加入している生命保険の他、学資保険や住宅ローンの契約内容をしっかり確認した方が良いでしょう。
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18歳~64歳の遷延性意識障害患者は、介護保険等の公的な支援が受けられず、手当てが少なくなるため、加害者側に十分な介護費用を請求する必要性がある。
遷延性意識障害から回復したとしても、身体障害者1級の要件をクリアし続けていることが多いので、急いでしなければいけない手続きは皆無である。
交通事故による遷延性意識障害の積極的損害と消極的損害のうち、積極的損害は項目が他の交通事故に比べて多岐にわたることが多いので、注意が必要である。
遷延性意識障害の保険金の算出の際には、余命と生活費控除が争点となる事が多く、保険会社の主張は被害者に対して圧倒的な不利となる事が多い。
遷延性意識障害の損害補償金の受け取りは、一括の他に定期金賠償という毎月(毎年)支払う形もある。定期金賠償には利点・欠点の両方があるため、受け取り方を考える必要がある。