腰髄と脊髄損傷について
腰髄は、胸髄の下の背骨がS字型に湾曲している始まりのあたりで、下は仙髄につながっています。
一般に、上部に位置する脊髄を傷めると、より重度の脊髄損傷を発症します。
腰髄は、脊髄のなかでも下の方に位置するので、頸髄や胸髄を損傷した時より症状の出かたは軽いことが多いと言われています。
しかし、脊髄損傷をもっとも起こしやすいのは頸髄と腰髄なので、腰部を強打した場合は腰髄の損傷を疑って専門医の検査を受けるべきでしょう。
また脊椎の横の脊柱管の中を通っている腰髄からは、5対の腰髄神経が出ています。
腰髄に限らず、脊髄神経は、脊椎から出たばかりの場所では、運動系の情報をやりとりする前根(ぜんこん)と、知覚系の情報をやりとりする後根(こうこん)に分かれています。
脊椎からはなれると、前根と後根は一緒になって混合神経になります。
このあたりになると、自律神経節(じりつしんけいせつ)から出ている線維も混合神経につながります。
つまり、脊髄から出ている神経は、運動系、感覚系、自律神経系の3つの情報伝達をしているのです。
交通事故と腰髄損傷の関係
腰髄を損傷すると、以下のような症状が現れます。
腰髄損傷によって病変が現れる位置は下半身に集中していますが、症状が現れる部位は5個ある腰髄のどの部分を損傷したかによって変わってきます。
・股関節のまひ・感覚喪失
・足のまひ・感覚喪失
・足の筋力低下
・足のしびれ
・膀胱の制御機能喪失
・腸の制御機能喪失(排便反射)
※膀胱および腸の制御機能喪失は、腰髄に限らず、他の脊髄の部位も含め、脊髄の損傷が激しい場合に発症します。
交通事故で車にはねられて転倒し、腰部に強い圧力がかかって腰椎を圧迫骨折すると、腰髄損傷を発症する可能性があります。
単純な腰椎骨折で、神経を傷めていないのであれば、コルセットを装着するなどして、つぶれた骨がくっつくのを待つことになりますが、圧迫の度合いが大きくて腰髄まで損傷していると、単純な骨折の治療ではなく、神経系統の動きを良くするためのリハビリにも取り組まなければなりません。
歩行者や自転車、バイクの運転者などが自動車と接触して転倒し、腰椎を骨折することが良くありますが、単純な骨折と思わずに、腰髄を損傷していないか検査を受けましょう。
腰髄損傷の診断は脳神経外科で行っていますが、脊髄センターなどの名称で、脊髄の診断、治療を専門に行っている病院もあります。
交通事故で、後に示談交渉で治療による問題も起こりやすいため、まずは弁護士へご相談ください。
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脊髄損傷の症状は、完全麻痺やしびれなどが代表的なものではあるが、痛みや温冷を感じなくなるなどの感覚異常や、排尿や排便が困難になるなどの様々な症状がある。
脊椎の脱臼や骨折を伴わない中心性脊髄症候群は、脊髄損傷の中でも、もっとも多く発症する病名の一つです。交通事故によって脊髄損傷となった場合には、まずは弁護士へ相談するのが望ましい。
脊髄損傷であっても麻痺などの症状がない場合には、後遺障害認定を受けることは困難である。
交通事故の規模が比較的軽微であっても脊髄損傷を受傷することがあるが、加害者側と後遺障害認定において揉めることがあるため、もめごとが起こった際はすぐに弁護士に相談した方が良い。
交通事故で体が麻痺したり動かない原因は、脊髄損傷のほかに脊髄が圧迫されて起こるものなどがあり、手術などの治療が必要なものもある。