脊髄損傷となった場合は、介護保険が使えるのか?
交通事故で脊髄損傷となった場合、受傷度合いによっては下半身不随で車いすの生活となったり、それよりも重篤な全身麻痺といった症状になることがあります。
脊髄損傷により日常生活が困難となった場合は介護が必要となるのですが、自費で介護サービスを受けると高額になるため、公的な介護支援を受けたいと思われる方も多いと思います。
公的な介護支援と聞いてまず思い浮かべるのが、介護保険だと思います。
しかし、介護保険によるサービスが受けられるのは、65歳以上の要介護または要支援を受けた者か、40歳以上の特定疾病(脳卒中やリウマチなど)の方が対象となります。
64歳以下で交通事故に遭い、脊髄損傷となっても、介護保険を利用することはできません。
そのため、「子どもは児童医療、高齢者は介護保険があるが、その間は保障がない隙間の期間」とも言われています。
40歳以上の脊髄損傷患者で、「脊柱管狭窄症」や「後縦靭帯骨化症」といった病状である場合には介護保険の特定疾病に当たるため、介護保険を利用している人もいます。
介護保険に該当しない場合は障害者総合支援法を活用
脊髄損傷となったのに介護保険が使えない人は、何も公的な介護サービスが使えないというわけではありません。
脊髄損傷となっても介護保険に該当しない場合は、障害者総合支援法で介護サービスを受けられることがあります。
障害者総合支援法とは、平成17年に公布された障害者自立支援法が、平成25年に改訂された際に障害者総合支援法と名称が変更ものです。
障害者総合支援法の第一条では、
「(目的)第一条:この法律は、障害者基本法の基本的な理念にのっとり、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律、児童福祉法 その他障害者及び障害児の福祉に関する法律と相まって、障害者及び障害児が基本的人権を享有する個人としての尊厳にふさわしい日常生活又は社会生活を営むことができるよう、必要な障害福祉サービスに係る給付、地域生活支援事業その他の支援を総合的に行い、もって障害者及び障害児の福祉の増進を図るとともに、障害の有無にかかわらず国民が相互に人格と個性を尊重し安心して暮らすことのできる地域社会の実現に寄与することを目的とする。」
となって、障害者自立支援法より多い130種の病気の患者を対象としています。
障害者総合支援法で介護サービスを受けるためには、自治体の障害福祉課で区分認定を受ける必要があります。
区分認定の等級によりますが、脊髄損傷となった場合、外出時の介護人による付添いや自宅での介護サービスを受けることができます。
しかし、自治体により大きな差があるのが現状です。
また、介護保険が利用できなくても、多くの自治体で、一定以上の身体障害者認定を受けている人に対して、独自の介護サービスを行っています。
「私の住んでいる所にはそういったサービスはなさそう」と思っていても、役所や保健センターで相談してみたら、色々な公的なサービスがあったということもあります。
また、新たにそういった公的なサービスを始めることもありますので、こまめに役所の刊行誌をチェックした方が良いでしょう。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
交通事故で脊髄損傷を負い、被害者が介護の必要な状態に陥った場合、将来的な介護費用を請求すれば認められる可能性がある。正当な理由を主張するためにも、弁護士に相談してみるとより安心できる。
脊髄損傷による介護費用の請求は、脊髄損傷の重篤度により認められるときもあれば、認められないケースもあるため、事前に弁護士に相談して確認をした方が良い。
医師が脊髄損傷患者の介護が必要と判断した場合、例え身内が介護をしたとしても、介護費用を請求できる。仮に職業介護人を雇った場合も、負担した費用の請求が認められる。
交通事故の後日に脊髄損傷が判明しても、交通事故との因果関係の証明が難しいケースもあるため、弁護士に相談をした方が良い。
交通事故で体が麻痺したり動かない原因は、脊髄損傷のほかに脊髄が圧迫されて起こるものなどがあり、手術などの治療が必要なものもある。