保護されている脊髄が脊髄損傷となってしまった場合には
もっとも重度の場合は、後遺障害等級第1級であることからわかるように、脊髄損傷は、深刻な後遺障害が残る恐れのある傷病です。
脊髄は背骨の中心部にある脊柱管(せきちゅうかん)の中を通る太い神経で、脳の最深部にある脳幹(のうかん)に直結しています。
すなわち、脊髄を傷めると、脳と体の先端部が、情報伝達できなくなる可能性があるのです。
背中に衝撃を受けると脊髄を傷める可能性がありますが、人間の体は、大事なパーツを守るように作られているので、軽い衝撃で重要な臓器があっけなく壊れるようなことはありません。
たとえば、心臓や肝臓などの臓器の周りには肋骨があり、胸に衝撃を受けると、肋骨を折ることはあるものの、心臓や肝臓は、よほど激しい衝撃を受けない限り、直接傷付くことはありません。
人間の脳は、生き物のなかでももっとも発達していますが、脳を損傷すると、人間らしい活動に致命的なダメージを受け、行動、五感、感情などさまざまな面で障害が起きます。
脳の組織そのものはとても柔らかく傷つきやすいのですが、脳は、3つの層で覆う髄膜(ずいまく)とその外側を覆う頭蓋骨で守られており、衝撃から保護されています。
脊髄はこのようにして保護されている
脊髄はどのように保護されているのでしょうか?
脊髄も、脳と同じく3層の髄膜で保護されています。
3つの層は、外側から脊髄硬膜(こうまく)、脊髄クモ膜、脊髄軟膜(なんまく)です。
軟膜とクモ膜の間には、小柱と呼ばれる線維の束があり、小柱と小柱の間には隙間があります。
この隙間は、クモ膜下腔(くもまくかくう)と呼ばれ、クモ膜下腔は髄液(ずいえき)で満たされています。
つまり、脊髄を構成する神経の束は、髄液の中をふんわり浮いている状態です。
そのため、背骨にある程度の強い衝撃を受けても、外側のもっとも丈夫な硬膜や、髄液がクッションとなり、脊髄がダメージを受けることを防ぎます。
しかし、髄膜による保護には限界があります。
ヒトの体は、ある程度以上の力が加わると、骨折、内出血、臓器破裂などの損傷を受けます。
脊髄も例外ではなく、衝撃が限界を超えれば脊髄損傷になります。
ヒトは頭部が重く、二本足歩行をするので、他の動物に比べて転びやすい生き物です。
外部から衝撃を受けて直接脊髄を損傷することもありますが、車にはねられたり、スポーツ中に他の選手と接触するなどして転倒したことが原因で脊髄損傷になることも多くあります。
脊髄損傷となった場合には示談交渉で問題が起きやすいだけでなく転院による問題も起こりやすいため、まずは弁護士へご相談ください。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
脊髄損傷で行われる手術は、神経除圧術と脊髄固定術があるが、どちらも脊髄損傷を根本から治癒するものではなく、対処療法としての手術になる。
脊髄損傷のリハビリ期間は、ADLを習得するのに6カ月~2年が一つの目安とされているので、患者はリハビリに専心して交通事故の示談は弁護士に任せる方が良い。
脊髄損傷は、脊椎を通る脊柱管の中にある脊髄という神経の束を傷めると発症する神経の病変で、脊椎損傷は、脊椎を構成している椎骨の骨折やねんざなどの外傷です。
ソーシャルワーカーは医療行為自体はしないが、入院を起因とする諸問題に対して補助する職業で、脊髄損傷の場合は今後の生活不安や諸手続きに関して相談できる専門者である。
交通事故による脊髄損傷で入院中の入院雑費は、日額1,100~1,500円で計算されるが、それを上回る請求をする場合には立証証拠を揃えて弁護士から請求してもらう方がよい。