脊髄損傷と脊椎損傷の違いとはどんなものですか?
脊髄(せきずい)損傷と脊椎(せきつい)損傷。
言葉が良く似ているので混同して用いられることも多い病気です。
どちらかといえば脊髄より脊椎の方がなじみのある言葉なので、2つの単語を区別することなく、背骨の神経を傷めたことによる病変イコール脊椎損傷だという誤った認識が広く浸透しています。
交通事故が原因で発症することの多いむち打ち症のことを頸椎捻挫(けいついねんざ)と呼んだりするため、頸椎という言葉の知名度を上げていることも病名の思い違いを誘発する原因の一つとなっています。
さらに、整体師や柔道整復師、鍼灸師などが治療を行う整体院では、多くのツボが集まっている背中を支える脊椎のゆがみやずれを治す脊椎療法を行っているので、体の不調の多くは脊椎が原因だと思っている人も多いようです。
しかし、脊髄は神経、脊椎は骨ですから、そもそも脊髄損傷と脊椎損傷はまったく異なる病気であって、それぞれに適した治療法があります。
交通事故などで、首、背中、腰などを強打して病変が現れたら、脊椎に傷がついて脊椎損傷になったのだと早合点せずに、脊髄に詳しい専門医の診察を受けるようにしてください。
脊髄損傷と脊椎損傷の典型的な症状
脊椎は、頸椎(けいつい) 7個、胸椎(きょうつい) 12個、腰椎(ようつい) 5個、および5個の仙椎(せんつい)が融合した仙骨(せんこつ)1個、3個から5個の尾椎のすべてもしくは一部が癒合した尾骨1個で構成されます。
これらの脊椎を総称して椎骨(ついこつ)ということもあります。
脊椎の数は一定ではなく、32~34個の骨でできていますが、これは、尾骨は個体差があることが原因です。
脊椎の集まりを専門用語で「脊柱」と言いますが、この脊柱が私たちになじみ深い言葉「背骨」です。
脊椎は、背骨を構成する小さな骨のことで、その集合体が背骨だと覚えればわかりやすいですね。
脊椎損傷とは、脊椎に強い力が加わることが原因の外傷です。
骨のケガですから、脊椎が骨折したり脱臼したりします。
椎骨は、椎体(ついたい)という筒型の部分の横に蝶の羽のような形をした脊弓(ついきゅう)があります。
脊体と脊弓の間には隙間があり、そこを脊柱管が通っています。
この脊柱管の中を通っている神経の束が脊髄です。
このように、脊髄は脊椎と極めて近い場所にあり、脊椎を傷めると脊髄損傷になる可能性があります。
しかし、脊椎を傷めたからといって必ずしも脊髄損傷になるのではなく、脊椎損傷になった人が脊髄損傷を発症する確率は、40~60%です。
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脊髄損傷で行われる手術は、神経除圧術と脊髄固定術があるが、どちらも脊髄損傷を根本から治癒するものではなく、対処療法としての手術になる。
脊髄にかかる衝撃が保護している範囲の限界を超えると脊髄を構成する神経が傷ついて脊髄損傷になる。脊髄損傷となった場合には、まずは弁護士へ相談するのが望ましい。
尾骨の脊髄は他の脊髄よりも退化しており、尾髄の脊髄損傷より仙骨の脊髄損傷や尾骨の骨折による神経障害として取り扱われることが多い。
脊髄損傷に限らず、後遺症の残る交通事故の怪我は、いつ症状固定をするかが非常に重要である。症状固定後は保険金が支払われ、治療費の補償が終了するため、時期を正しく見極めて対応するのが望ましい。
交通事故で下半身麻痺の脊髄損傷を負った場合、車いすの購入費用を加害者側に請求できるが、購入前にいろいろと試してから購入した方が良い。