脊髄損傷を負った際に利用する車いす購入の注意点
交通事故で脊髄損傷を負い、下半身麻痺の後遺障害が残った場合には、車いすが必要となる方が多いです。
交通事故により脊髄損傷で下半身麻痺となった方の多くは、今まで車いすに触れたことが無い方が圧倒的に多く、また車いすと言えば病院などに備え付けられている一番簡素なタイプを思い浮かべられると思います。
車いすというと『医療用器具』としての側面が一番に来ますが、骨折などで一時的な使用をするのとは違い、脊髄損傷患者は一生使用する器具になりますので、車いすの選び方で生活の質(QOL)が大きく変わってきます。
車いすは先ほど述べたように折り畳みができる簡易なものから、座面がチェアタイプで電動の高価な物まで幅広くあります。
脊髄損傷の原因となった交通事故の被害者であれば、車いすの購入費用を加害者側に請求することは可能ですが、無制限に高価な車いすの購入が認められるものではありませんし、高価なものが患者にとってベストな車いすであるか別問題になります。
また、車いすは消耗品であるため、厚生労働省の指針では車いすの耐久年数は5年・電動ならば6年とされています。
自治体にとっては購入後1年半以上たってからの買い替えの場合、車いす購入の助成金が支給されるところもあるため、初めは標準的な車いすを購入して、買い替えの際に検討し直すという方法もあります。
車いすはなにがベストなのか?
交通事故で下半身麻痺という重度の脊髄損傷を負った場合、ほとんどが事故後すぐに入院されていると思います。
そのため、病院に備え付けの簡易な車いすを経験されるのですが、乗り心地が悪いと思います。
病室から診察室といった短距離・短時間でも乗りづらいと感じるものを、日常生活に戻って長時間乗り続けるのは辛いというのは容易に想像できると思います。
病院のリハビリ担当医師や療法士などは車いすの知識があるため、退院する前に「どのような車いすが使いやすいか?」という相談をしておく方が良いです。
しかし、医師や療法士が様々な車いすをお勧めしてくれるとは思いますが、それがベストとは限りません。
なぜならば、患者の身体的特徴や脊髄損傷の状態もそうですが、生活環境によってもベストな車いすが変わってくるからです。
例えば下半身麻痺でも上半身に麻痺が起こってなければ、手動の車いすの方が良い場合も多いです。
電動車いすは自走してくれるために楽ではありますが、重量が50kg以上ある物もあるため、電池切れで運んだりエレベーターが無く階段で持ち上げたりする際にはかなりの重労働になります。
自分で少しならば歩けて、車いすは「外出時に疲れた時用」という場合には、車にも乗せやすく家でたたんで収納できるコンパクトなものの方が良いと言えます。
また、背が高く足が長い、肥満体といった患者の場合、簡易な車いすはもちろん通常の車いすでも窮屈という場合もあります。
そのため、一番初めは車いすのレンタルを利用して1週間~1か月といった短期レンタルで数種類を試乗すると良いと言えます。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
交通事故の後日に脊髄損傷が判明しても、交通事故との因果関係の証明が難しいケースもあるため、弁護士に相談をした方が良い。
交通事故による脊髄損傷で、車いすなどの医療器具が永続的に必要となった場合には、将来的な購入費用も加害者に請求できる。
脊髄損傷となった場合、体の傷が治癒し始めると早急にリハビリ計画が立てられ、リハビリをしていくことになる。麻痺をした部分であってもリハビリテーションの有用性がある。
交通事故による脊髄損傷で車いすなど歩行器具が必要となった場合には、将来的な買い替えも含めて加害者側へ費用を請求することができる。
交通事故で脊髄損傷となった場合には、脊髄を横断的に損傷した完全損傷と、脊髄の一部が損傷または圧迫を受けたが、断的な損傷は受けておらず一部の機能を残す不完全損傷がある。