脊髄損傷のMRIで異常所見に影響する2つの要素とは
脊髄損傷の後遺障害等級認定で必須とされるのが、MRIなどを用いた画像で異常所見を認めることです。
そのため、「脊髄損傷のMRI画像診断で異常所見が得られなかったのですが、どうすればいいでしょう?」といった相談がよく見られます。
MRI装置の磁力の大きさは「テスラ」という単位で表され、テスラが高いほど撮影画像の解像度が高まる、つまり異常の有無を確認しやすいと言われます。
現在の主流は1.5テスラですが、3.0テスラの装置を備える施設もあり、さらには研究用の7.0テスラという装置も開発されています。
より高い解像度での診断を望む方は多く、3.0テスラでのMRIは紹介状があっても数か月の順番待ちということも珍しくないのが現状です。
先のように、画像所見で異常が無いことで困っている方は、「3.0テスラのMRI画像なら、自分の場合も異常所見が得られるのでは」と期待しますが、結果はケースバイケースです。
1.5テスラでは画像が不鮮明だったけれど、3.0テスラでははっきりと異常が見られた、という方もいれば、3.0でも画像での異常所見は得られなかった、というケースもあります。
また、MRI技術の進歩は目覚ましく、解像度はテスラの値よりも装置が製造された年代に影響を受けるので、新しい装置ほど解像度が高いという意見も聞かれます。
最新の1.5テスラの装置で撮影していたとすれば、再度3.0テスラに挑戦しても結果が変わらない可能性がある、という意見です。
医師の診察スキルや方針による影響も
脊髄損傷の診断では、MRIの性能と合わせて、医師ごとの得手不得手の影響が考えられます。
「7人の医師に診てもらって、脊髄損傷を指摘できたのは総合病院で脊椎を専門にしている2人の医師だけだった」といった体験談もあります。
かといって大規模な病院なら安心というわけではなく、大学病院の医師でも、脊髄損傷の診断に懐疑的で検査も行わないということがあるようです。
診察料や検査料がその都度かかるものの、解像度の高いMRI画像で異常所見を見つけ、納得のいくセカンドオピニオンを受けておくことは大切です。
脊髄損傷の状態によっては、上肢などに麻痺が出ていてもむち打ちと判断されたり、MRIの撮影が行われないケースがあります。
詐病や心因性と言われて検査を受けられず、悔しい思いをしたという声も聞かれます。
脊髄損傷は根治が見込めない症状であり、今の痛みを我慢すればいいというものではありません。
不当な診断や後遺障害等級認定をされたりして、その結果十分な損害賠償を受けられないということが無いように、面倒でも納得できる診断を受けられるようにしましょう。
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交通事故が原因で脊髄損傷を負った場合、精度の高いMRI画像を撮影する、神経学的検査を受けるなどして、納得のいく後遺障害等級を認めてもらうべきである。
脊髄損傷の中でも中心性脊髄損傷は、脊椎の骨折を伴わないので診断がむずかしい傷病である。正確な診断をしてもらうために、神経学的検査を受けると良い。
脊髄損傷になったら、精度の高いMRI画像を撮影する、神経学的検査を受けるなどして後遺障害診断書に添付する証拠を集め、納得のいく後遺障害等級を認めてもらうのが望ましい。
脊髄は老化による変形や損傷があり、交通事故後に脊髄損傷が見られても、交通事故に起因するものと認められず、診断が下りない事がある。そのような場合には交通事故に精通した弁護士に相談した方が良い。
脊髄損傷でセカンドオピニオンを受ける大きなメリットは、精度の高い診断を受けられる点である。