頸椎の脊髄損傷について
頸椎は、首から腰まで連なっている背骨の首の部分を指します。
頸椎は7つあり、英語でcervicalと言うため、頸椎の脊髄損傷で損傷した個所を示すのに上からC1~C7と省略して呼ばれることがあります。
脊椎は下に行くほど太くなるので、一番上にある頸椎は成人男性で直径4~5cmほどと脊椎の中でも一番細いです。
頸椎は成人男性でおおよそ6kgと言われる頭を支えていて、しかも可動出来る機能もあるので、日常生活を送っているだけでも負担がかかっています。
日本人に肩こりが多い原因の一つに、白色人種に比べ筋肉量が少ないため、クビを支える肩の筋肉量が少ないので支える力が弱く、頸椎の負担が大きいことが挙げられます。
また、骨格自体が白人と比べて小さいため、頸椎も小さいことも原因の一つです。
そのため、交通事故でシートベルトをしているケースでも、胴体部分はシートベルトで固定されているため重大な傷病がなくても、衝撃で頭が大きく揺さぶられ頸椎が捻挫・骨折することがあります。
それに伴い、頸椎の中心部分を通っている脊髄、頸髄が部分断裂したり完全断裂したりすることがあります。
頸髄損傷とは?
頸椎の中心には神経の通り道である骨髄が、仙骨まで貫くように通っています。
頸椎を通っている部分の脊髄を頸髄と言うのですが、脊髄損傷の中でも交通事故による頸髄損傷は重篤な障害が残るケースが多く、特に上から5番目までの頸椎(C1~C5)で脊髄損傷が起こると首から下の麻痺が発症し、6番目・7番目の頸椎の脊髄損傷であっても腕がかすかに動かせる程度となってしまうこともあります。
交通事故で頸髄損傷が起こると麻痺だけでなく、排せつが自分でコントロールできなくなり、痛みや温度などの感覚を伝える感覚神経と、発汗機能、内臓機能、内分泌機能を管理している自律神経も働かなくなってしまうため、脊髄損傷患者の看護をする人はオムツを使用したり、室温調整や床ずれの予防などをする必要があります。
さらに上から3番目までの頸椎で脊髄損傷が起こってしまうと、自発呼吸ができなくなり、人工呼吸器が必要となります。
このように重篤な症状が出やすい頸髄損傷ですが、脊髄損傷患者の約75%が頸髄損傷と言われており、「脊髄損傷の障害=頸髄損傷の重篤な障害」のイメージを持たれる方も多くいらっしゃいます。
しかし、これらの症状は完全に頸髄が断裂する脊髄損傷の障害であり、頸髄損傷の患者の中でも部分断裂であれば、「首から下が少し痺れた感じがするが、日常生活程度ならばできる。」、「自律神経が働かなくなり、自律神経失調症のような症状が出る。」と千差万別です。
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脊髄にかかる衝撃が保護している範囲の限界を超えると脊髄を構成する神経が傷ついて脊髄損傷になる。脊髄損傷となった場合には、まずは弁護士へ相談するのが望ましい。
仙骨の脊髄損傷では、主に臀部から足裏、つま先にかけての麻痺が起こり、排尿障害なども起こることがある。
脊髄損傷は、脊椎(背骨)の中にある神経の束である脊髄が完全断裂したり、部分断裂をした状態である。脊髄損傷は腰の軽い違和感から首の下が全く動かないなどの症状の重篤さがかなり違う。
脊髄損傷のなかでも頚髄が損傷すると、自律神経障害がみられることがある。症状として体温調節機能の低下や血管運動神経の障害、異常疼痛や異所性骨化などがみられる。
高齢者の脊髄損傷患者の場合、交通事故後の後遺症状が加齢によるものと似通っていて程度が同レベルの場合には、後遺障害認定がされないこともある。