脊髄損傷に対する慰謝料とはどのようなものなのか?
よくテレビドラマなどで、「慰謝料を請求する!」と決まり文句のように出てきますが、正しく理解している人は少ないのではないでしょうか?
特に「損害賠償請求」と「慰謝料請求」を混同されている方が多く、保険会社から支払われる交通事故の脊髄損傷に対する金銭に関しても、損害賠償金や慰謝料、治療費などのすべてを合わせて「保険金」と呼んだりするために、違いが分からないで受け取っている方も多いです。
損害賠償金は文字通り、交通事故の脊髄損傷を受傷したことによる損害で、治療費や休業補償などを指します。
一方で慰謝料は、文字通り「慰(なぐさ)め、謝(あやま)るため」に支払うお金で、脊髄損傷による痛みや交通事故前の日常生活が送れなくなった事へのお詫びの気持ちを表す金銭になります。
そのため、慰謝料の相場は極端な言い方をすれば「あってないようなもの」で、加害者・被害者の合意があれば、「いくらでもよい」というのが、示談の基本です。
半身麻痺の脊髄損傷で慰謝料を受け取らないのも、単なるむち打ちで慰謝料を5000万円払うのも、「両者の合意」があれば問題がありません。
加害者と被害者で乖離する慰謝料金額
しかし、実際の脊髄損傷患者と加害者や加害者側の保険会社との間で、慰謝料について裁判で争われたりします。
問題点がいくつもあるのですが、1つは示談の当事者と実際の支払者が違うという点です。
交通事故の被害者と加害者間で「慰謝料を1000万円にする」と取り決めたとしても、実際に支払うのは保険会社の場合、示談金額が一般的な金額から離れていると保険会社は慰謝料を支払いません。
保険会社では慰謝料というのは後遺障害等級や入院・通院期間により基準が定められており、それ以上となることはほとんどありません。
つまり保険会社が「今回の交通事故の脊髄損傷に対する慰謝料は500万円が相場」とした場合、当事者間がそれを超える慰謝料で示談していた場合は、500万円まで支払うか、最悪は保険会社が「当事者とも言える保険会社を無視した」ということで一銭も支払わない可能性すらあります。
もう1つが、加害者側が提示する金額が低すぎたり、被害者側が要求する金額が高すぎたりするケースです。
加害者側が提示する金額が低い事がほとんどなのですが、まれに被害者側の要求する金額が高すぎるケースがあります。
裁判所は判例を用いた判決を出すことが多いので、あまりにも常識はずれの慰謝料金額であると、「被害者に問題がある」と加害者に有利な判決が出ることもあるので、注意が必要です。
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脊髄損傷の入院期間は、国が定めた規則により例外と認められない限り6カ月を超えると入院基本料の15%が自己負担になるため、ほとんどの人が6カ月以内に退院する。
交通事故による脊髄損傷の慰謝料が、一般的な相場から増額されるケースもあるが、時代によっての変化もあるので、弁護士に確認をした方が良い。
交通事故で受傷した脊髄損傷は、後遺障害等級の認定を受けられれば高額の慰謝料を見込める。今後の人生を大きく変える怪我であるため、納得いく金額を受け取るために、弁護士に相談するべきである。
脊髄損傷による損害賠償の内訳は、大きく分けて積極的損害と消極的損害の2種類があり、もともとの損害に対する補償の性質が異なる。
交通事故で脊髄損傷を負った場合、加害者側に対して請求できる損害賠償項目を把握しておく事は重要である。被害者が該当する損害賠償項目を主張し忘れることの無いよう確認しておかなくてはならない。