仙椎の脊髄損傷とはどういったケースを指すのか?
仙椎と言うとあまり聞き馴染みがなかったり、どこの骨かあまりわからないと言われる方もいらっしゃったりするほど、馴染みが薄い骨格部分でもあります。
仙椎は仙骨とも呼ばれ、こちらの方が聞き馴染みがある方の方が多いかもしれません。
仙椎は腰椎の下にある大きな三角形をした骨で、左右の腰骨に挟まれた位置にあります。
仙椎は生まれてきた時には5つに分かれていますが、15~18歳ごろになると徐々にくっつき始め、30歳を超えるころには大きな一つの骨、仙骨となります。
仙椎は英語でsacralと言い、もともと5つの仙椎が集まって1つとなった後でも、部位により上からS1~S5と省略して呼ばれます。
S1とS2は主に臀部から足の裏側(太もも裏やふくらはぎ)、足裏からつま先までの神経器官を、S3~S5は臀部や排便・排尿器官のコントロールを担当しています。
そのため交通事故などで仙骨を骨折した人の中には、一時的に排尿がしづらくなったり、ふくらはぎやかかとなどにしびれを感じたりする人もいます。
仙髄損傷とは?
仙骨は腰骨に挟まれた位置にあるため、転んでしりもちをついたと言う場合でも、仙骨の下にある尾てい骨や上の腰椎を負傷することが多く、仙骨を負傷する確率はかなり低いです。
そのためか、交通事故での仙髄損傷患者数も、脊髄損傷の患者数の割合からすると少ないです。
仙髄の脊髄損傷は仙骨の骨折を伴うことが多く、時として激しい痛痒を伴うケースがあります。
交通事故の状況により骨折の程度も変わりますが、仙骨の単純骨折の場合1~2カ月で治癒すると言われています。
基本的に仙骨の骨折の治療法は自然治癒となるため、コルセットなどは使わず、湿布薬や鎮痛剤の服用が中心となりますが、痛みがひどく歩くどころか布団から出ることも出来なかったり、半年以上も痛みが続いたりするケースが見られます。
このような場合は、仙骨の骨折だけでなく、仙髄損傷をしている可能性も考えられます。
仙髄損傷では主に腰より下の背面部分、臀部や太もも裏・ふくらはぎに麻痺やしびれがあらわれることが多く、足首や踵・つま先の動きが悪くなることがあります。
そのほかには、排尿障害が起こることもあり、男性であれば勃起不全、女性であれば不感症となる事もあります。
そのため、交通事故で仙骨を骨折後、つまずきやすくなったり、尿漏れが起こったり、勃起不全が起こっても、骨折自体は治癒し麻痺や痛みがなかったため、「年のせいだろうか?」と、仙骨内で起こっている脊髄損傷に気が付かないケースもあります。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
交通事故で脊髄損傷となった場合でも、運転免許試験場(運転免許センター)で適性検査を受けて審査に通れば、運転免許証を取得することができる。
腰椎に脊椎損傷が起きると、足の麻痺や排尿障害などが起こりやすいが、不完全型の脊髄損傷で軽微な障害であると、脊髄損傷であることが見過ごされてしまう危険性がある。
脊髄損傷となった場合、体の傷が治癒し始めると早急にリハビリ計画が立てられ、リハビリをしていくことになる。麻痺をした部分であってもリハビリテーションの有用性がある。
交通事故の規模が比較的軽微であっても脊髄損傷を受傷することがあるが、加害者側と後遺障害認定において揉めることがあるため、もめごとが起こった際はすぐに弁護士に相談した方が良い。
自賠責保険の運用変更で、以前から脊髄損傷でまひがあっても、交通事故で新たにしびれが生じた場合には、弁護士に示談交渉を依頼すれば新たなしびれに対する分の請求をすることができる。