交通事故で同乗者が脊髄損傷となった場合の補償は?
交通事故の被害者は、運転手や歩行者だけとは限りません。
助手席や後部座席に座っていた、いわゆる同乗者が脊髄損傷を負うことがあります。
では、同乗者が脊髄損傷を負った際には、どこから補償してもらえるのでしょうか?
運転手の自損事故であれば運転手から、自動車同士の事故であればそれぞれの運転手から補償してもらうことになります。
自動車事故で過失割合が3:7で脊髄損傷の損害金が5000万円とすると、同乗していた運転手から1500万円、相手側から3500万円の補償がされることになります。
通常は、運転手が加入している自賠責や任意保険から支払われるのですが、任意保険に加入しておらず自賠責保険で賄いきれない分に関しては、運転手が支払うことになります。
もし、車検切れなどで自賠責保険にすら加入していなかった場合には、全額運転手が支払わなければならなくなります。
保険によっては支払われないケースも
交通事故の同乗者に対する補償は、「対人賠償責任保険」と「人身傷害補償特約」と「搭乗者傷害保険」の3つがあります。
対人賠償責任保険は人に対する補償なので、事故の相手方や同乗者の怪我や死亡の補償をします。
ですが、運転手本人のほかに配偶者や親や子は対人賠償責任保険の適用外となります。
仮に夫婦と子供の3人家族が、運転手の父の自損事故で怪我を負い、子供が脊髄損傷となった場合でも、対人賠償責任保険は支払われません。
一方、人身傷害補償特約は自動車事故の被害者であれば、続柄に関係なく利用することができます。
また、運転手自身に対しても保険が適用されますので、先程の例のような家族全員が事故に遭った場合にでも保険金が支払われます。
万能と思える対人賠償責任保険ですが、上限金額が自賠責保険並みであるため、死亡事故や脊髄損傷などで損害補償金額が莫大な金額になると、賄いきれない可能性があります。
搭乗者傷害保険は、契約車両に搭乗していた人、つまり運転手と同乗者に対する補償になります。
搭乗者傷害保険の特徴として、保険金額が定額と言う事が挙げられます。
対人賠償責任保険であれば、治療費や休業補償は実費が支払われますが、搭乗者障害保険は「指の骨折5万円・足の骨折30万円・死亡事故1000万円」と言うように決められています。
そのため搭乗者傷害保険の保険金が、損害賠償金額に遠く及ばないことが多く、現在の自動車保険の中では加入が減っている保険の種類になります。
同乗者の場合、加害者側の運転手と直接連絡が取りずらいケースもありますので、弁護士を通じて加入している保険の種類の確認をした方が良いこともあります。
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交通事故で脊髄損傷となった場合、生命保険からも保険金が支払われることがあるが、高度障害保険金は支給要件が厳しい場合もあるので、弁護士を通じて保険会社と交渉しても良い。
交通事故で加害者側が自動車保険に加入していても、重度の脊髄損傷の場合は保険金額が足りないこともあるので、保険の内容を確認する必要がある。
脊髄損傷の後遺障害等級は、労働能力喪失率や逸失利益と深く関係しているため、正しい後遺障害認定を受けることが重要である。
交通事故で脊髄損傷となり車いすを使うことになった場合、今まで住んでいた住居が車いすでは生活できず、引っ越しを余儀なくされることがあるが、引っ越し費用などを加害者側に請求できる。
交通事故による脊髄損傷で休業補償の請求では、入院期間や通院した日のほかに、医師が自宅療養の必要性を認めた場合には、通院をしなかった日に対しても休業補償を請求できる。