脊髄損傷の住居問題について知っておきたいこと
脊髄損傷の症状は、自発呼吸も難しいほどの重篤な患者もいれば、足先の感覚が少し鈍いといった健常者と変わらない程度の患者もいます。
交通事故による脊髄損傷の患者の多くは、退院後は自宅に戻って療養や生活を送られます。
しかし、車椅子が不可欠なほどの脊椎損傷であれば、今まで住んでいた住居では生活できないと言う事が多々あります。
「道路と玄関に段差があり、車椅子で玄関まで行けない」
「玄関の大きさが車椅子よりも小さい」
「廊下の幅が車椅子の幅よりも狭い」
「トイレが小さすぎて車いすでは入れない」
「キッチンの流しが車椅子では高すぎて、水道の水すら出せない」
と、脊髄損傷を負う前ではなんでもなかった自宅が、車いすで生活する住居としては無理といったケースがあります。
持ち家で家の間取りや土地などの余裕がある場合には、リフォームや建て替えなどで対応できるでしょうが、持ち家でもマンションであったり、賃貸物件であればなおさらリフォームなどは無理である可能性が高いと言えます。
車椅子でも暮らせる住居探しは?
今まで住んでいた住居が車いすの生活に適応していないため、新たに住居を探して引っ越す脊髄損傷患者もいます。
多くの場合、賃貸への引っ越しを希望されるのですが、車椅子に対応した賃貸物件は少ないのが現状です。
ファミリータイプであれば、バリアフリーで建てられた分譲マンションの一室が賃貸物件として出されている場合もありますが、一人住まい用のワンルームや1DKなどではそういった物件は皆無といえます。
また、脊髄損傷患者の家族が賃貸物件の借主となる場合であれば問題は少ないのですが、一人身の脊髄損傷患者本人が借主となる場合は、断る大家が多いのが現状です。
交通事故で脊髄損傷となったある独身男性は、アパートに一人暮らしをしていたため、退院しても車いすでは元のアパートでは生活できないので、新たに引っ越し先を探したのですが10件以上断られ、やっと理解のある大家に会えたのですが、引っ越し先のアパートの車いす用のリフォーム代は借主が支払うことになったので、通常の引っ越しよりもかなり高価になってしまったそうです。
どうしても引っ越しの必要性がある場合には、まずお住まいの市町村役所に相談をしてみた方が良いでしょう。
多くの自治体では公営住宅を保有しており、一般向けの応募の他に身体障害者の応募枠を特別に設けていることが多く、優先的に入居できる可能性があります。
また、身体障害者向けの設備が整ったバリアフリーの公営住宅を保有している市町村もあり、そのような住居では「車椅子で生活する」と言うのを前提として設計されているだけでなく、脊髄損傷患者自身が借主となるケースも想定しているため、空きがあり、収入などの借り入れ要件を満たしていれば、ほぼ入居できます。
交通事故により脊髄損傷となり引っ越しの必要性が生じた場合は、相手側に引っ越し費用などを請求できるケースがありますので、詳しくは保険会社や弁護士などに相談した方が良いでしょう。
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脊髄損傷の保険金は、症状の重さにより数十万円から時として億となる事もあるが、個人的に交渉をした場合には、保険会社の基準の最低限に近い金額しかもらえないため、弁護士に依頼をした方が良い。
脊髄損傷は損傷の程度により、足先の痺れや、下半身麻痺であったりと症状にばらつきがある。交通事故による怪我が原因で生活が困難になった場合、リフォーム費用を加害者側に請求できる可能性がある。
交通事故による脊髄損傷で休業補償の請求では、入院期間や通院した日のほかに、医師が自宅療養の必要性を認めた場合には、通院をしなかった日に対しても休業補償を請求できる。
交通事故で脊髄損傷となった患者が車いすを用いて室内移動をするのは困難であるケースがあるため、外出用とは別の移動手段を考慮する必要がある。
交通事故による脊髄損傷の損害賠償金には、交通事故日から遅延損害金が課されるが、一般の示談交渉では支払われることがほとんどないため、弁護士から請求をしてもらうと良い。