主婦が交通事故で脊髄損傷になった場合の補償は?
交通事故で脊髄損傷になられるのは、働き盛りの男性だけでなく、子供や主婦など、性別や年齢・職業は関係がありません。
家族のどなたかが脊髄損傷となられたら、他の家族の方は介護などで困る事となりますが、中でも主婦の方が脊髄損傷となられた場合が、家族の負担が一番大きいパターンになります。
主婦の方は家事をすべてされていることが多く、脊髄損傷で家事ができなくなると生活に支障が出ることがしばしばあります。
特に、小学生以下の小さな子供がいたり、介護が必要な老父母がいたりした場合などは、代わりに身の回りの世話をしてくれる人が必要になります。
また、家庭の金銭管理をしていることも多く、妻が脊髄損傷で入院をしてしまい、夫が「銀行の通帳やカードがどこにしまってあるかわからない」、「子供の学校関係の支払いが分からない」と言う事があります。
他にも、一般的に女性の方が介護などの細やかな気配りに向いていると言われ、夫が脊髄損傷で妻が介護しているケースよりも、妻が脊髄損傷で夫が介護をしている方が、介護人の介護疲れが出やすい傾向があります。
保険会社との示談交渉が困難なことも
時として、夫よりも大変である主婦である妻の脊髄損傷ですが、保険会社との示談交渉になった時に、保険会社との認識の違いに驚かれる方が多いです。
会社員などで収入がある夫が脊髄損傷となった場合には、仕事を休んだことによる収入減の休業補償や、後遺症により仕事が出来なくなったことによる逸失利益の補償があります。
しかし、主婦の場合は休業補償や逸失利益の補償などを、保険会社が「主婦は無職と同じで無収入なので、収入に対する補償はありません」と、事実ではない事を言ってきます。
脊髄損傷の受傷が重く、夫が仕事を辞めて妻の介護に専念しなければならなくなった場合、夫が仕事を辞めたことに対する補償をしてもらえるかはかなり微妙で、裁判所の判断でも認められたものと認められなかったもの、両方の判例があります。
妻が交通事故で脊髄損傷となり、幼い子供もおり妻の介護もしなければいけないため会社を辞めざるを得なくなった夫が、保険会社との示談交渉に困り弁護士に相談に来られたケースでは、当初の保険会社の提示額の数倍の保険金額となり、数千万円もの差が出たという例もあります。
ただでさえ、困難が多い保険会社との交渉ですが、被害者が脊髄損傷の主婦であるとさらに困難になると予想されるため、事前に弁護士に相談した方が良いでしょう。
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脊髄損傷の症状は、交通事故発生からしばらくしてから現れることもある。事故現場で自覚症状がなくても、警察を呼んで交通事故の報告をしなくてはならない。
交通事故で脊髄損傷となると、これまで通り仕事に従事できなくなる。すると、収入が減り、生活が金銭的に圧迫される状況になり得るため、欠かさず休業損害の請求を行うべきである。
交通事故で脊髄損傷を負った場合、加害者側に対して請求できる損害賠償項目を把握しておく事は重要である。被害者が該当する損害賠償項目を主張し忘れることの無いよう確認しておかなくてはならない。
ライプニッツ係数は、交通事故による脊髄損傷の損害賠償に係る逸失利益や介護費を計算するうえで非常に重要な係数で、民法の改正により5%から3%へと変更された。
交通事故が原因で脊髄損傷となったのに、加害者側からむち打ちなのではと言われたら、診断書や検査資料で脊髄損傷を立証して正当な賠償金を請求するべきである。