脊髄損傷での示談の際に発生する遅延損害金とは?
交通事故により脊髄損傷を負った場合、加害者に対して請求できるのは
・脊髄損傷の治療費・入院費・通院費
・会社を休んだことによる減給の給与損害
・入院時の雑費
・付き添い介護費用
・通院時の交通費
・入院・通院慰謝料
脊髄損傷により後遺症が残った場合には
・将来的な給料の減給に対する補償(逸失利益)
・後遺障害慰謝料
・将来的な介護費用
・介護用品の購入費用(車いすなど)
・必要によっては自宅改装費
さらに加害者と裁判となった場合には
・弁護士費用
と、かなり多くの項目があります。
そのため、重度の脊髄損傷により後遺症が残った場合には、合計の損害賠償額が1億円を超えることも珍しくなく、脊髄損傷患者の年齢や年収によっては、2億円をも超える判例が出ることがあります。
上記の他にも請求できるものがあるのですが、あまり目にしない物に「遅延損害金」というものがあります。
遅延損害金はメジャーではない?
遅延損害金は文字通り、「損害賠償金を支払うのが遅れたことによる損害に対するお金」を差します。
身近な所ではレンタルDVDを期日までに返却しなければ延滞料をとられますが、あれも遅延損害金の一種になります。
「示談書に○月○日までに支払うとしていたのに、それが遅れた場合に遅延損害金が発生するの?」と思われるかもしれませんが、交通事故の場合に遅延損害金が発生するのは、交通事故の当日からになります。
つまり、脊髄損傷を負った交通事故から2年後に示談をしたとすると、2年間の遅延損害金が発生していることになります。
民法による遅延損害金の年利は5%ですので、2年であると5%×2年=10%相当が遅延損害金となります。
もし、損害賠償の金額が1億円ならば1年で500万円ずつ遅延損害金が発生している計算になりますので、加害者側からすると早期に示談をしてしまわなければ大きな負担となります。
しかし、一般の方が保険会社と示談する際には、まず遅延損害金の話は出ません。
一般の方に遅延損害金の知識がないことと、保険会社も支払うべき保険金を少しでも少なくしようとしていることから、保険会社からわざわざ遅延損害金を提示してくることは皆無です。
そのため、弁護士に交通事故の示談交渉を依頼して初めて、遅延損害金を請求できることを知るという方がほとんどです。
損害賠償金が高額となり、示談までに時間を要すれば要するほど、遅延損害金は増えていくということになります。
なかには弁護士に支払う費用を遅延損害金で賄えたうえに、全体的な損害賠償額もアップしたという方もいますので、示談前に弁護士に相談をした方が良いでしょう。
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脊髄損傷の保険金は、症状の重さにより数十万円から時として億となる事もあるが、個人的に交渉をした場合には、保険会社の基準の最低限に近い金額しかもらえないため、弁護士に依頼をした方が良い。
交通事故による脊髄損傷で弁護士に依頼する際には、契約書で依頼の範囲や内容をよく確認する必要がある。
交通事故による脊髄損傷の裁判で保険金が高額な判決となるのは、弁護士が脊髄損傷に関する請求を正しく計算し直すからである。
脊髄損傷となった交通事故の示談を弁護士に依頼する利点には、損害賠償金の増額や法的なアドバイスが受けられる等があるため、弁護士を雇うことも検討してみると良い。
脊髄損傷の示談交渉における被害者の請求権には時効が存在する。そのため、時効を気にして示談を急ぎそうになるかもしれないが、時効は症状固定をしてから2年間とされているため、焦る必要はない。