脊髄損傷なのに加害者からむち打ちだと言われたら?
歩道を歩いていたら暴走してきた車にはねられてころび、首と背中をひどく打ちました。
事故から1週間経っても痛みが引かないので病院に行き精密検査を受けたところ、脊髄損傷と診断されました。
脊髄の怪我は完治がむずかしいという話を聞き、今後は後遺障害等級を申請した上で、加害者と損害賠償の話し合いをしたいと考えています。
でも、加害者側は、怪我はむち打ちだと言います。
私が脊髄損傷だと主張するのは、怪我をより重傷であるとみせかけて賠償金を増額しようとしていると言うのです。
むち打ちと脊髄損傷はまったく異なる病気ですので、丹念に証拠となる資料を集めれば、脊髄損傷であることを立証することが可能です。
交通事故による怪我では、脊髄損傷のほか、頸髄損傷も多発し、良く似た病名で脊椎損傷、頸椎損傷も、同じく交通事故で発生する頻度の高い傷病です。
脊髄損傷とむち打ちは混同されやすい
脊椎と頸椎は、骨を表しており、脊髄と頸髄は、その骨の中を通っている中枢神経を表します。
つまり、脊椎損傷と頸椎損傷は骨をいためたことによる病気、脊髄損傷と頸髄損傷は、神経を傷めたことが原因の病気ということです。
これに対してむち打ちは、外部から強い圧力がかかったことが原因で、首の筋肉が大きく揺さぶられて首周辺のやわらかい組織がダメージを受けた状態を表しています。
つまり、筋肉が外力により捻挫した状態で、重度のむち打ちの場合は骨折を伴うこともありますが、損傷した部位は中枢神経まで到達していないという点で、むち打ちと脊髄損傷はまったく異なる病気と断言できます。
脊髄損傷は、後遺障害等級で最重度の別表第一1級1号となります。
それ以外では、2級1号、別表第二3級3号、5級2号、7級4号、9級10号、12級13号のいずれかに該当します。
それに対し、むち打ちによる後遺障害等級は、12級か14級が一般的であり、申請しても認定されないことすらしばしばあります。
加害者側の保険会社としては、後遺障害の程度として軽度なむち打ち症とみなして話し合いを進めたいという心づもりがあるでしょうが、脊髄損傷とむち打ちでは、損害賠償金額が大きく異なるので、妥協せず、正当な賠償金を請求してください。
賠償金をいくら請求したら良いか悩んでいるという方は、弁護士に依頼して話し合いを進めることをお勧めします。
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脊髄損傷の症状は、交通事故発生からしばらくしてから現れることもある。事故現場で自覚症状がなくても、警察を呼んで交通事故の報告をしなくてはならない。
脊髄損傷では麻痺がある部分に痛みやかゆみなどを感じる幻肢痛という症状が出ることが多くあるため、幻肢痛で日常生活に支障が出る場合にはその分を含めた損害賠償請求をした方が良い。
交通事故により脊髄損傷となった場合、損害賠償請求の時効は交通事故日から3年であるが、後遺障害が残った場合は、症状固定をした日から3年というのが判例として残っている。
脊髄損傷では症状固定までに時間がかかることも多いが、後遺障害等級認定の際には、症状固定から示談まで2年の猶予があるので、無理に急がなくても良い。
脊髄損傷による損害賠償の内訳は、大きく分けて積極的損害と消極的損害の2種類があり、もともとの損害に対する補償の性質が異なる。