脊髄損傷でも持病を抱えていれば素因減額される?
交通事故での脊髄損傷の症状は様々で、首から下の完全麻痺により寝たきりの生活を余儀なくされたり、腕が上がりにくくなったり、足の麻痺により歩けなくなったりと、人によって症状が大きく変わります。
なかには、「痛風で膝が痛くて歩きづらかったのに、交通事故で脊髄損傷を負ってから、車いすの生活になった。」「5年前に交通事故のむち打ちの後遺症があったのに、また事故にあってさらに悪くなった。」と、いう方もいると思います。
こういった、以前から体に持病や不具合を抱えていた方が、交通事故により悪化した場合には、素因減額をされます。
素因減額とは、「被害者にもともと持病などの心身のマイナスの要因がある場合、その分に関しては減額をする」と言うものです。
例えば、交通事故の脊髄損傷で後遺症が残り、後遺障害6級に認定された2人の男性がいたとします。
一人は自賠責保険から1200万円を超える損害賠償金を受け取ったのに対し、もう一人は以前の交通事故で後遺障害9級であったため、今回の事故では素因減額され600万円ほどの支給と、大きく差が開くことがあります。
身体的だけでなく心因でも素因減額される場合にも
交通事故以前からあった持病や後遺症が悪化した場合には、その分が素因減額されて補償されるというのはわかったと思いますが、もう一つ心因的な素因減額があります。
心因的な素因減額とは、被害者自身の性格や精神状態の事を差し、注意力が散漫であったり、短気であったりしたことが、事故を起こしうる原因となったとされることがあります。
交通事故の心因的な素因減額は過失相殺との関係性が深く、被害者の素因減額・過失相殺の両方の状況を鑑みて、最終的には支払われる損害補償金が減額されることが多いです。
特殊な例としては、被害者が加害者に対して憎しみを抱いているがために、交通事故で負った怪我に対して、痛みやしびれなどを過剰に感じている場合に、心因的な素因減額がされることがあります。
腰椎の脊髄損傷なのに、直接的に関係のない「ひじが麻痺したように、曲げ伸ばしが出来ない」と言ったり、麻痺の程度が軽度にもかかわらず「全く歩けない」と言ったりなど、医学所見が認められない症状を訴えている場合などがそうです。
裁判でも心因的な素因減額について争われることがあり、裁判所が素因減額を認める判決をする場合がありますので、被害者側としては医学的な証拠を揃える必要があります。
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交通事故による脊髄損傷で弁護士に依頼する際には、契約書で依頼の範囲や内容をよく確認する必要がある。
脊髄損傷の保険金は、症状の重さにより数十万円から時として億となる事もあるが、個人的に交渉をした場合には、保険会社の基準の最低限に近い金額しかもらえないため、弁護士に依頼をした方が良い。
交通事故で脊髄損傷となり車いすを使うことになった場合、今まで住んでいた住居が車いすでは生活できず、引っ越しを余儀なくされることがあるが、引っ越し費用などを加害者側に請求できる。
脊髄損傷となったとしても、交通事故以前から症状を抱えていた場合は、交通事故による後遺症とは認められず、保険金が減額されることがある。
交通事故が原因で脊髄損傷となったのに、加害者側からむち打ちなのではと言われたら、診断書や検査資料で脊髄損傷を立証して正当な賠償金を請求するべきである。