交通事故の賠償金は、個人で裁判所基準を勝ち取れますか?
【質問】
交差点の横断歩道を青信号中に自転車で渡っていたところ、左折で交差点に進入してきたトラックに追突される交通事故に遭いました。
この交通事故で頚椎捻挫、ろっ骨の骨折で2週間入院、1年間の通院治療を続けることになっています。
後遺障害等級を申請し、14級が認められました。
私は青信号の横断歩道を渡っていたのに、保険会社はこちらにも2割の過失(不注意)があると言ってきます。
また私のような主婦の場合も、基礎収入が認められて治療中に家事ができなかった分の休業補償を請求できると聞いたのですが、その金額が妥当なのか疑問です。
交通事故の賠償金について調べてみたところ、「裁判所基準ならもっと高額の賠償金になる」ということを知りました。
ここまで個人で後遺障害等級の申請や示談対応などをしてきましたし、できれば自分で交渉して裁判所基準の賠償金を勝ち取りたいのですが、個人では無理でしょうか?
【回答】
一般的に「裁判所基準は弁護士が交渉する場合のみ適用できる」と言われています。
もし被害者である一個人が「私は裁判所基準があることを知っています。今回の交通事故の賠償金も裁判所基準で算定してください」と保険会社に申し入れたとしても、「それは実際に裁判となった場合の基準であって、示談段階でのものではない。納得できなければ裁判を起こしてください」という返事をされてしまいます。
保険会社の賠償金は、約款に従って支払われます。
約款はそれぞれですが主旨としては、「加害者の負担する法律上の損害賠償責任について支払い責任を負う」といった内容です。
つまり、示談による互いの譲歩や調停・裁判等で決着した金額ならば支払うという決まりなので、保険会社が独自で設ける賠償金の自社基準をもとに示談金を算出、提示してきます。
ただし、交渉の相手が一般人ではなく弁護士となれば話は別です。
法的知識や交渉経験の豊富な弁護士に対し、法的な根拠のない任意保険基準では対抗できません。
しかも実際に弁護士によって訴訟を起こされれば、結局は手間を割かれたうえに裁判所基準の支払いをすることになります。
そのため、弁護士相手では保険会社担当も任意保険基準を強く主張できず、示談で歩み寄る結果、裁判所基準に近い高額の賠償金を請求できるわけなのです。
一般の方が保険会社と交渉し裁判を起こすのは容易ではなく、準備や手続きにも大変な思いをすることでしょう。
民間の紛争処理センターを利用するという方法もありますが、これも精神的・物理的な負担が大きく、効率の良い対応とは言えません。
十分な損害賠償金額を獲得したい場合には、やはり弁護士の力を借りるのが近道です。
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仮に交通事故の示談交渉を弁護士に任せたとしても、保険会社と交渉する場に、被害者が同席する事は可能である。しかし、その場合にはスムーズに事を進めるために入念な打ち合わせが求められる。
通勤中の交通事故では自賠責のほか労災にも保険金を請求できることがある。状況によるが、一般的には労災へ先に申請して、差額を自賠責へ請求することが多い。
交通事故に遭われた被害者が受け取れる賠償金を増やすためには、自身で事故後の処理を進めるのではなく、弁護士に依頼し、弁護士基準で慰謝料を請求するのが望ましい。
交通事故における過失割合は、被害者が請求する賠償金に大きく影響する。相手の保険会社が決定した過失割合に納得いかない場合、根拠のある反論が求められる。
交通事故における過失割合で加害者と揉めた場合、加害者の主張が不当であるケースでは、弁護士を介入させ、対処する方法がある。過失割合における口論を個人でまるく収めるのは、容易ではない。