弁護士に交通事故の示談を任せても示談の場に同席できる?
【質問】
1年前に夫が交通事故に遭い、半年間入院した後に今も通院をしていますが、後遺症が残ると医師から言われています。
加入していた自動車保険には弁護士費用特約が付いていて、保険会社からもOKが出たため、夫と交通事故の示談を弁護士にお願いしようかという話になりました。
どの弁護士に依頼するか検討中で、弁護士事務所のホームページなどを見ているのですが、どこの弁護士事務所を見ても「弁護士に任せれば、示談交渉をすべてします」と書かれています。
ですが、夫の意見では細かい手続きなどは弁護士に任せたいが、加害者側と示談交渉する際には、被害者である夫も弁護士と同席したいと言っています。
夫の気持ちもわかるのですが、弁護士の先生が示談してくれているのに、邪魔になるのではないかと心配になります。
そもそも、弁護士の先生が示談をしてくれているので、出席する必要もないのではないかとすら思っています。
弁護士に依頼しているのに、依頼人が示談の席に同席すると問題はないのでしょうか?
【回答】
交通事故の示談で弁護士に依頼する利点の一つに、示談交渉を代わりにしてもらえるというものがあります。
依頼主の中には、「加害者や加害者側の保険会社の態度が悪いので、顔を合わすのも嫌」と言われる方もいますが、「示談の場に同席して、加害者側の話を一緒に聞きたい」とおっしゃられる方もいます。
弁護士の立場からすると、依頼主の意見を尊重して同席していただくことは問題ないです。
同席していただくことで、加害者側の意見を直接依頼主が聞くことが出来ますし、依頼主の発言に対しても、弁護士が法的な立場からフォローすることができるからです。
しかし、示談前に弁護士との綿密な打ち合わせが必要となります。
示談の場になって、弁護士が聞いていないことを新たな証言のように発言されたり、激昂されて示談が中断するという事になれば、示談交渉が不調に終わってしまう可能性があります。
また、弁護士を通さず加害者や加害者側の保険会社と直接連絡をとったり、会ったりするのもよくないです。
弁護士の知らないところで交渉が進んでしまうと、弁護士が依頼主の有利となるように示談交渉を進めているにもかかわらず、その事により変更を余儀なくされることもあります。
そのため、依頼主としての要望を伝え、その都度弁護士の指示やアドバイスを仰いでいくのが、弁護士との上手な付き合い方と言えます。
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保険会社と示談交渉で納得できる回答がもらえず裁判と言われた場合、弁護士を通じて交渉した方が有利に進められる。
軽傷であった交通事故の示談では、弁護士に依頼することで入通院慰謝料を弁護士基準まで引き上げて増額できる可能性がある。費用の詳細はケースバイケースで弁護料は弁護士によるので比較検討が必要となる。
交通事故の示談を他人に任せることはできるが、様々な問題が発生する可能性があるため、法律と示談のプロである弁護士に示談を任せる方がいい。
軽微な交通事故などの場合には、弁護士に示談交渉を依頼した結果、増額分よりも弁護料が高くなって、結果的に赤字になる可能性がないわけではない。
交通事故の示談交渉は、当事者が認めるのであれば、他人に任せ、対応してもらう事は可能である。ただし、対価を得る事は弁護士以外禁止されているため、無償で対応してもらう必要がある。