死亡事故の被害者遺族は事故後、どのような対応をするの?
【質問】
19歳の娘がアルバイト先の忘年会から帰宅中、道路を歩いていたところに飲酒運転の自動車に衝突されるという死亡事故に遭いました。
娘は脳挫傷を負い、2時間後に病院で亡くなってしまいました。
こちらに落ち度は全くなく、加害者は日常的に飲酒運転をしていたようで、その日も居酒屋をはしごした後に眠ったような状態で運転していたそうです。
加害者は逮捕、拘留されて現在取り調べの最中と聞きました。
大学生だった娘は明るい性格で、家族の中心的な存在でした。
娘と特に仲が良かった妻はひどいショックを受け、呆然自失の状態です。
父である私自身も突然のことに混乱しています。
死亡事故の遺族として、突然命を奪われた娘や落ち込んでいる妻のためにも、私ができるだけのことをしなければと思っていますが、何をどうすればいいのか分かりません。
今後自分たちにどんなことが起きて、どう対応すればいいのか、あらすじを教えてください。
【回答】
死亡事故後の遺族の対応には「刑事的側面」と「民事的側面」の二つの側面があり、これらは同時に進行しながらも、別々に対応・手続きをしていくものです。
刑事的側面としては、逮捕された加害者の刑罰を決める過程での遺族対応があります。
加害者を起訴するのか、不起訴とするのかは、事故後だいたい20日前後で決定します。
それまでの間に警察官や検察官から、遺族に対して事情聴取が行われます。
少しでも疑問に思うことは、その場で遠慮せず聞いておくようにしてください。
起訴された場合、死亡事故の被害者遺族には「被害者参加制度」を利用する権利があり、法廷で質問したり、量刑についての意見を述べることが可能です。
とはいえ、大切な人を死に追いやった加害者の顔も見たくないという方もいます。
被害者参加制度を利用するか否かは遺族の自由であり、実際の参加方法については法律の専門家である弁護士に相談するのがベストです。
民事的側面とはつまり、損害賠償の請求額を決定するための示談交渉です。
加害者が加入する保険会社の担当者が事故状況を考慮した損害賠償金を提示してくるので、詳細を確認し交渉します。
死亡事故で請求できるのは大きく分けて、葬儀代、逸失利益、慰謝料の3つの項目です。
被害者が交通事故に遭わなければ得られていたと考えられる経済的利益が逸失利益であり、基礎収入から生活費を差し引いて算出します。
損害賠償の基準は、目安となる金額が小さいものから順に、自賠責基準、任意保険基準、裁判基準の3つがあり、自賠責基準と裁判基準では算出される金額が全く異なります。
刑事的、民事的双方の対応において、交通事故に詳しく法律の知識が豊富な弁護士のサポートは、心強いものとなることでしょう。
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交通事故の損害賠償金が少なくて弁護士に依頼をためらっている場合には、弁護士費用特約に加入しているか確認をしたり、少額訴訟を検討してみると良い。
交通事故の保険金支払いの基準は、低い順から「自賠責保険基準」「保険会社基準」「裁判所基準」があり、金額の差が数倍となる。
交通事故の示談を弁護士に依頼している場合には、裁判となった場合でも弁護士に任せて出廷しないことも可能である。
交通事故の被害者、もしくはその遺族には被害者参加制度によって加害者の公判に参加する権利がある。公判では大きく4つの行動が可能で、心情を訴えたり犯罪事実について質問することもできる。
保険会社と示談交渉で納得できる回答がもらえず裁判と言われた場合、弁護士を通じて交渉した方が有利に進められる。