交通事故の規模が小さすぎて弁護士に頼めない場合は?
【質問】
半年前に交通事故に遭い、加害者側と交通事故の支払いの件でもめています。
交通事故の状況は追突事故で、加害者側が保険会社に加入していなかったため、加害者と直接示談交渉をしています。
むち打ちの治療費とバンパーの修理を加害者に請求しているのですが、お金がないと言って支払ってくれていません。
治療費と修理代だけだと30万くらいなので、弁護士に依頼しても弁護士費用の方が高くついてしまうと思い、頼むことも出来ません。
私が加入している保険会社の方も、私に過失がない交通事故という事で代わりに示談交渉が出来ないと言われ、ほとほと困っています。
このように交通事故の損害賠償金が少額の場合には、どうしたらよいのでしょうか?
また、相談ができるところはあるのでしょうか?
【回答】
交通事故の損害賠償金(保険金)は高額になることもありますが、接触などでは数十万円以下の損害賠償金であることも少なくありません。
任意の自動車保険に加入していれば、保険会社が示談の代行をしてくれますが、保険加入者に過失がない場合、代わりに示談交渉することは法的に禁止されているため、被害者本人が示談をしなければいけません。
しかし自動車保険には、保険加入者の過失がなくて保険会社が介入できない時のために「弁護士費用特約」が付帯しているものもありますので、加入している自動車保険の内容を確認して、付帯していれば保険会社に利用を打診することが出来ます。
弁護士費用特約が付帯していなかった場合には、被害者本人が加害者と示談交渉していくのですが、個人でもいろいろと方法があります。
交通事故の内容と請求の内訳を書いた内容証明書を加害者に送付し返答を待つ方法や、簡易裁判所で少額訴訟を起こす方法もあります。
少額訴訟は請求金額が60万円以下ならば個人でもすることができ、手数料は訴訟金額の1%ですので、30万円でも手数料3000円で裁判所に訴えることが出来ます。
少額訴訟とはいえ、正式な裁判所の判決となりますので、加害者に支払いを命じる判決が下りてもなお支払わない場合には、強制執行の手続きもとれますので、少額訴訟をする前に加害者へ「治療費の支払い等をしない場合には、裁判所に少額訴訟の手続きをします。」と通達するのもよいかもしれません。
多くの人は裁判となることを嫌がりますので、裁判となると聞いた時点で支払う人もいますし、「裁判すると言っているけど、どうせするわけがない」と思っているような加害者でも裁判所からの出頭命令が来ると、態度をあらためることもありますので、少額訴訟はある程度の効果があると言えます。
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交通事故における過失割合は、被害者が請求する賠償金に大きく影響する。相手の保険会社が決定した過失割合に納得いかない場合、根拠のある反論が求められる。
保険会社と示談交渉で納得できる回答がもらえず裁判と言われた場合、弁護士を通じて交渉した方が有利に進められる。
仮に交通事故の示談交渉を弁護士に任せたとしても、保険会社と交渉する場に、被害者が同席する事は可能である。しかし、その場合にはスムーズに事を進めるために入念な打ち合わせが求められる。
交通事故という緊急事態では本来の性質が出やすく、不誠実な態度で謝罪のない加害者もいる。憤りを感じても冷静に対処し、十分な損害賠償を受けることに目的を絞ることが大切である。
交通事故における損害賠償の請求には時効が存在し、規定の期間を経過してしまうと被害者の請求権が失われる。しかし、ひき逃げなどの特殊なケースにおいては、通常の時効とは期間が異なる。