交通事故で労災がおりると、自動車保険金は受け取れない?
【質問】
会社の通勤途中に、自動車同士が衝突する交通事故を起こしました。
会社の通勤経路上であったため、会社も労災の使用を認めています。
相手の自動車もこちらの自動車も自動車保険には加入しており、お互いに保険会社を通じて示談交渉をしています。
過失割合は5:5ということで、相手方も了承しています。
保険会社の説明によると、労災を使うということで、自動車保険の方から一部支払われないものもあるとの説明を受けました。
怪我の治療費は直接病院へ支払われていますが、休業補償などは私に支払われるとのことです。
労災を使うことで自動車保険から支払われないものがあるのであれば、労災を使わない方が良いのではと思ったのですが、どっちの方が得なのでしょうか?
もし、労災を使わない方が得であるのならば、労災を使うことをやめることができるのでしょうか?
【回答】
労災は自動車事故に限らず、通勤時間を含む会社の勤務時間内に負った怪我や病気に対して治療費の支払いをしたり、会社を休んで減った給料分の補填をしてくれます。
労災認定された交通事故の場合は、自動車保険と併せて労災を利用することができます。
ですが、交通事故で支払われる保険金は、「損害の補填」というものなので、実際の損害を超える額を受け取ることはできません。
具体例を挙げると、「労災の交通事故で1カ月会社を休み、月給の30万円がもらえなかった」という場合には、労災からは最大80%の24万円が支給されますが、自動車保険では30万円の全額が支給されます。
しかし、実際の損害を超えて補償を受け取ることはできないため、労災から80%を受け取った場合、自動車保険からは残りの20%分しか受け取ることができません。
こうしてみると自動車保険から休業補償などを受け取った方が良いように思えますが、自動車保険では過失相殺というものがあります。
先述の話は過失が0である場合で、過失が5である場合には、自動車保険からは50%しか受け取れないということになります。
ですが、労災は過失割合に関係なく支払われるため、質問者のケースであれば労災を利用すれば100%分の休業補償を受け取ることができます。
また、労災だと治療費に関しては全額負担をしてくれるため、自動車保険のように過失分は自己負担ということもないので、労災を使う方が最終的に受け取れる保険金が多くなります。
総じて、労災を使う方が交通事故の場合は有利であるので、使える場合には自動車保険と併用する方が良いでしょう。
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交通事故の示談を加害者と直接した場合には、保険会社から保険金が支払われなくなるため、直接の示談はしない方がいい。
自動車と歩行者における交通事故の過失割合は、基本的に自動車が悪く、10:0となる。しかし、シチュエーションによっては歩行者にも過失割合が発生し、過失相殺される可能性はある。
自動車に無償で同乗する好意同乗であっても、近年では好意同乗を理由に同乗者への減額はされない傾向が高い。
交通事故の場合、過失割合に沿ってお互いがお互いの損害賠償をしなければいけないため、過失割合が小さくても負担が大きい時がある。
ひき逃げは交通事故の中でも悪質とされており、保険会社との交渉において保険金の増額を訴える要件としても認められる。