歩行者の注意不足でも交通事故の過失割合は10:0になる?
【質問】
先月、横断歩道を渡っている際に車が直進してきた事で交通事故が発生しました。
衝突の衝撃で突き飛ばされ、鎖骨と右腕を骨折する大怪我を負いました。
基本的に車と歩行者の関係では、10:0で車が悪いとされていますが、過失割合について加害者側と揉めています。
というのも、加害者側の主張として、信号は黄色であったため、歩行者が横断するには交通ルールに違反しているとの事です。
正直、記憶が曖昧で、加害者の言う通りである可能性もありますが正直納得いきません。
黄色であるなら尚更、運転手は停止しなければならないと思いますし、止まれなかったとしても安全確認は怠るべきでは無いと私は考えます。
このような状況では、私が強く主張すれば過失が発生せずに済むでしょうか?
【回答】
基本的に自動車と歩行者の交通事故の場合、自動車側に全責任が問われるのがほとんどです。
そのため、過失相殺は行われず、被害者の損害は全て、加害者側に請求できます。
しかしながら、交通事故のシチュエーション全てにおいて、自動車に全責任が課せられる訳ではありません。
というのも、歩行者に対しても交通ルールが設けられているからです。
信号が黄色の状態で歩行者が横断しても、実際には警察に取り締まられるという訳ではありませんが、交通ルール違反であり、安全確認を怠っていると考えられても無理はないのです。
「歩行者の信号が完全に青ではない」「横断歩道や信号のないところを横断する」といった状況の場合、歩行者にもいくらかの過失割合が発生することがあります。
と言いましても、割合としては10%から30%ほどで、大半は自動車に責任があります。
路上で寝ているなど、明らかな過失が歩行者にある場合には、5割ほどの過失割合が発生する場合もあるため、一概に歩行者が絶対的有利という訳ではなく、ルールに従っている限りでは過失がないと考えられます。
ただ、質問者様の場合、交通事故時の記憶が曖昧な点もあると考えられているため、どうしても争点となってしまいます。
もし、加害者側の主張に納得いかないのであれば、弁護士に相談するのが望ましいです。
信号の状況のほか、時間帯や場所などによっても状況が変わってくる事ではありますので、細かい部分を判断しなければ、一概に過失割合については断定できないところです。
あくまで、過失割合は過去の判例に基づいた基準として参考にされているため、具体的かつ正確に判断してもらうのであれば、交通事故に強い弁護士の力が求められるのではないでしょうか。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
交通事故の場合、過失割合に沿ってお互いがお互いの損害賠償をしなければいけないため、過失割合が小さくても負担が大きい時がある。
交通事故の場合、被害者が保険会社に対して、損害賠償金額の証明をしなければ、保険会社から損害賠償金が支払われない。
交通事故で労災が使える場合には、自動車保険だけで補償してもらうよりも、労災と併せて補償してもらう方が、手厚く補償してもらえる。
交通事故の示談後に被害者が死亡した場合でも、逸失利益などの返金を加害者側にする必要はない。
子どもが被害者の交通事故では、子どもということを理由に過失の減算をされることがあるが、近年では「5歳以上ならば自動車に対する危険性の認識がある」として、認められないこともある。