飲酒運転の車に同乗していて事故に…。保険金は支払われる?
【質問】
会社の忘年会があり、帰る方向が同じであった同僚が、車で送ってくれることになりました。
しかし、帰り道で自動車同士の交通事故に遭い、運転手の同僚はもちろん、同乗していた私も怪我を負いました。
事故を起こしてすぐに警察が来たのですが、その時の検査で同僚が酒気帯びの飲酒運転であったことがわかりました。
忘年会の冒頭で社長から「車で来ている者は、お酒を飲まないように」と釘を刺されており、同乗させてもらう時も「(お酒は飲んでないか?)大丈夫か?」と聞いたのですが、「飲んでないから大丈夫」と言われていました。
相手方の保険会社と、同僚が加入していた保険会社から治療費などの示談交渉の連絡が入ったのですが、同僚が飲酒運転であったため保険金の支払いを渋られています。
保険会社の主張としては、「忘年会帰りということで、飲酒運転の可能性があったと認識があったにもかかわらず、同乗して事故に遭ったので、その分を過失として保険金を差し引きます」とのことでした。
同僚には好意で乗せてもらってはいましたが、車に乗る前に飲酒したかどうか聞いていますし、保険会社の主張は納得できません。
この場合、治療費などの保険金は全額もらうことはできないのでしょうか?
【回答】
自動車同士の事故で、同乗者は直接運転をしていないため、過失とは無関係であると考えられがちですが、実際には違います。
同乗者が運転手に対して、法定速度を超えるスピードで走るように強要したり、蛇行やドリフトなどの危険運転をそそのかしたりした場合には、同乗者にも過失割合が科せられて、保険金の支払いが減額されます。
飲酒運転の場合はさらに罪が重く、運転手が飲酒しているのを知っていながら同乗した場合には、保険金が減額されるだけでなく、道交法でも免許の停止に加えて罰金もしくは懲役刑に課せられます。
今回の場合、忘年会というアルコール類が提供される会合の帰りであった事から、同僚の飲酒運転が疑われる状態であります。
しかし、「飲酒により顔が赤くなっている」「呼気からアルコールの臭いがする」などがなく、同乗する前に飲酒の有無を確認している状況であれば、過失は問われない可能性が高いです。
反対に、同乗する際に運転手が「お酒を飲んでいない」と言っていても、顔が赤かったり、飲酒により足元がふらついていたりするような状態であれば、飲酒をしていることは容易に想像できますので、過失に問われる可能性が非常に高いと言えます。
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交通事故の同乗者であっても、危険運転致死傷幇助罪に問われると、事故の責任を負わなければいけないため、相手側から損害賠償請求を受けることがある。
自動車に無償で同乗する好意同乗であっても、近年では好意同乗を理由に同乗者への減額はされない傾向が高い。
交通事故の同乗者は運転手に対して損害賠償請求ができるが、運転手に危険運転をそそのかしたり、運転手が正常な運転ができないことを知っていた場合には、請求金額が減額される。
交通事故の相手が飲酒運転であっても、被害者に対しては通常の交通事故と同じく保険金が支払われる。
交通事故の示談後に被害者が死亡した場合でも、逸失利益などの返金を加害者側にする必要はない。