交通事故で妻が流産。加害者に損害賠償請求できる?
【質問】
妊娠中の妻の定期検診のために、自動車で病院に行く途中に交通事故に遭いました。
助手席に座っていた妻は、交通事故の時の衝撃で切迫流産となりました。
不妊治療を3年続けてやっとできた妊娠だったため、私も妻も今回の交通事故での流産に大きなショックを受けています。
特に妻のショックは計り知れず、交通事故の流産のためにまだ入院していますが、ボーッとしているかと思ったら急に泣き出したり、癇癪を起こしたりと情緒不安定になっています。
私も妻も、加害者に対して殺人罪で訴えたいくらいで、加害者の保険会社に対しても子供に対する死亡保険金の請求をしようと思っていました。
しかし、両親から「流産は残念だが、まだ生まれていないので保険金の請求はできないのではないか」となだめられました。
そのため、初めは保険会社に子供の分の保険金を請求しようと思っていたのですが、もしかしたら両親の言う通りかもと思い始めてきて、どうしたらよいのかわかりません。
でも、妻の憔悴ぶりを見ると、何もしない事にも心が痛みます。
交通事故で流産した場合には、どのような請求をすることができるのでしょうか?
【回答】
交通事故において、妊娠中の胎児の扱いは「母体の一部」として扱われます。
つまり、交通事故による切迫流産をしたとしても、「胎児の死亡事故」ではなく、「妊婦の交通事故」として取り扱われます。
そのため、交通事故による切迫流産で入院した場合には、当たり前ですが治療費が支払われます。
ですが、胎児の死亡時事故として取り扱わないため、胎児に対する死亡損害補償金は支払われません。
では、交通事故により流産した場合には何も補償がないのかというと、別の形で請求することができます。
死亡事故で遺族に支払われる死亡慰謝料が、これに相当します。
しかし、流産により支払われる死亡慰謝料は通常の半額程度なので、自賠責基準の死亡慰謝料の最高額が1250万円なので、最高600万円程度になります。
これは交通事故における最低基準である自賠責保険を基準としているため、判例ベースでは1000万円程度となる事が多いです。
しかしながら、請求できるというのと実際に保険会社が支払うかは別の問題となるため、保険会社によっては頑なに死亡慰謝料の支払いを拒むケースもあります。
なので、交通事故の流産における死亡慰謝料を受け取りたい場合には、弁護士に依頼をして弁護士から保険会社に請求する方が、支払われる可能性が飛躍的に上昇します。
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交通事故の示談内容に納得できなければ、示談成立前に被害者請求をして、先に自賠責の保険金を受け取ることは可能である。その後、任意保険へ不足分を交渉すると良い。
自賠責保険の手続きを保険会社に任せてしまうと、保険金が低くなる可能性が高いので、出来る限り自分で請求をした方が良い。
交通事故の同乗者は運転手に対して損害賠償請求ができるが、運転手に危険運転をそそのかしたり、運転手が正常な運転ができないことを知っていた場合には、請求金額が減額される。
交通事故の加害者であっても、自賠責保険に対して保険金の請求ができるため、被害者に直接示談金を支払った場合には、加害者請求をすると良い。
交通事故の場合、過失割合に沿ってお互いがお互いの損害賠償をしなければいけないため、過失割合が小さくても負担が大きい時がある。