むち打ちの際に活用したい弁護士費用特約について
むち打ちは交通事故の中では比較的軽症の傷害に分類され、人身事故の中でも80%ほどがむち打ちのみの傷害で収まっています。
そのため、自動車保険会社からすれば、むち打ちはありふれた人身事故のため、マニュアルが確立しており、それに沿った対応をされることがほとんどです。
しかし、交通事故の被害者からすれば一生に一回あるかないかの事で、むち打ちの治療のための通院に加え、慣れない保険会社との交渉や場合によっては休職するために会社への連絡などをこなさないといけないため、ストレスと不安が多く発生します。
しかも、歩行者対自動車、追突事故などで自分の過失がない場合には、自動車保険に加入していても自身の保険会社が示談交渉出来ないため、被害者自身が加害者本人や加害者側の保険会社と交渉せざるをえないため、負担は倍加するケースもあります。
死亡事故や意識不明の状態になるなどの重大な交通事故ならば、弁護士に依頼をして保険会社との交渉をしてもらうことも選択肢になるでしょうが、「むち打ちなんて軽症だから。」、「むち打ちで保険会社から支払われる保険金なんて数十万円だし、弁護士に費用を払ったら何も残らない。」と、むち打ちの場合にはあきらめてしまう人がほとんどです。
弁護士費用特約を使えばほぼ費用0円
むち打ち症状だけでも弁護士に依頼をした方が、以降の示談交渉がスムーズに行く可能性が高いため、費用の事を考えなければ交通事故直後から弁護士に依頼するのが理想的です。
しかし、費用の面などを考えると現実的ではありませんが、弁護士費用特約が付帯した自動車保険に加入している場合には別です。
支払われる弁護士費用は保険会社により上限が変わりますが、その特約から300万円前後まで支払われるため、実質負担は0円で収まる事が多いので、すぐに保険会社に弁護士費用特約が使えるか確認した方が良いでしょう。
もう一つのタイミングが、加害者側の対応が著しく悪いときです。
交通事故の加害者すべてがきちんと賠償してくれるかというとそうではなく、支払いを渋ったり、夜逃げ同然で連絡を絶ったり、中には恐喝まがいの行為をして交通事故自体を無かったものにしようとする者もいます。
相手が保険会社だから誠実な対応をしてくれるかというとそうではなく、対応を放置されたり、被害者側が抗議したら保険会社の代理人となった弁護士が出てきて、被害者に圧力をかけてきたりするケースもあります。
その場合、取れる対抗策は3つあり、1つは自力で対抗するという事なのですが、加害者側との交渉がこじれる可能性が高いのでお勧めできません。
もう一つは、自賠責に被害者請求することです。
交通事故の損害賠償金は自賠責保険から支払われ、自賠責保険の上限を超えるものは加害者自身や加害者側の保険会社が支払うことになります。
むち打ちの場合ならば120万円までは自賠責保険で支払われるので、加害者側を介さずに被害者が直接請求すれば、物損以外は加害者側と交渉する必要がなくなります。
最後の1つが、弁護士に依頼する方法です。
これが一番自身の手を煩わせずにすみ、相手に対しても効果的です。
弁護士費用特約に加入していなければ費用がかかることがネックですが、全体的な示談金がアップすれば負担は軽減しますし、代行費用と割り切れば費用対効果としては十分だと言えます。
まずは弁護士に費用的な面も含めて相談をして、自分に益があるのであれば依頼するか検討してみてもよいでしょう。
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交通事故でのむち打ちの保険金は低額となる可能性があるため、弁護士を雇うと費用がかさんでしまうことがある。弁護士費用特約が付いた自動車保険もあるが、必ず利用できるわけではない。
むち打ちを交通事故で負った場合、弁護士費用特約を利用して、慰謝料の増額に備えるのが望ましい。特に後続車からのもらい事故の場合、代わりに交渉してもらう方が安心である。
交通事故によりむち打ちとなった場合、むち打ちが完治するまで治療を続けると治療費が増えるので、治療を終えるまでは損害賠償請求ができない。
交通事故によるむち打ちで適正な後遺障害等級が認定されるためには、必要な要件を満たす医学的な資料を集める必要があり、弁護士に依頼した方がスムーズである。
むち打ちの示談であっても、弁護士に依頼するのとそうでないかで数十万円の差が生じるため、弁護士費用のことも含めて弁護士に依頼する方が良い。