むち打ちに対する後遺障害認定を受けるための要件について
後遺障害のなかでも軽微な症状であるむち打ちで後遺障害認定を受けるには、5つの要件をクリアする必要があります。
1つめの要件は「継続通院」です。
後遺障害等級の認定に必要な通院日数は具体的に定められているわけではないものの、症状の継続性を確認するためには「通院6ヶ月以上」「通院日数100日前後」程度が目安として考えられています。
これらの要件を満たしていたとしても、長期間だが2~3週間に1度のペースでの通院だったり、受傷後1ヶ月以上経過してからの通院では、後遺障害認定は難しくなります。
2つめの要件は「事故の程度と因果関係」です。
交通事故の様態が低速度での追突であった場合や、対向車両とこすった程度の衝突であった場合には、むち打ちの症状がみられたとしても障害認定するほどではない、と判断される傾向があります。
因果関係から推測しても、軽微な事故の場合には、その事故だけを原因とする後遺障害とは言えないと判断されてしまうのです。
ですので、重いむち打ちを引き起こすような事故内容かどうかが確認されます。
むち打ちが原因の症状であると証明するためには
3つめの要件は「症状の一貫性・連続性」です。
受傷直後から一貫して同じ症状があり、これが連続している場合に、後遺障害として認定されます。
事故直後は左頸部のむち打ちのみを認めていたのが、3ヶ月後には両側のむち打ちと判断された場合や、受傷後の痛みがいったん消えて数ヶ月後に再度痛みが出た場合、天候によって痛みが出る場合などは、症状に一貫性、持続性がないと判断されます。
4つめの要件は「症状の医学的な証明」です。
むち打ちだという自覚があっても、客観的に証明できなければ障害と認められません。
特に後遺障害認定において有効なのは、レントゲンやMRIによって神経への圧迫が確認できるような画像です。
画像所見では判断が難しい場合には、神経学的検査での証明が用いられます。
5つめの要件が、「認定基準に該当する症状」です。
むち打ちでの後遺障害認定の基準は等級ごとに決められており、これに該当する症状かどうかが確認されます。
交通事故でのむち打ちで後遺障害認定を受ける場合、12~14級が一般的で、よほど重症の場合には7~9級が認められるケースもあります。
交通事故後、むち打ちで辛い後遺症があり、生活に支障をきたしていたり治療を続けていても、上記のような要件を満たし、障害として認められなければ相応の損害賠償請求を行うことができません。
具体的にどうすればいいのかは、交通事故でのむち打ちに詳しい弁護士に相談することができます。
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むち打ちを簡単に後遺障害認定してもらうことは難しいが、積極的に通院して、事故の直後と最近の画像診断を用意するなどすれば、後遺障害を認められる可能性が高くなる。
むち打ちとなって治療を受けても症状が良くならないことが明らかになったら、後遺障害診断書を書いてもらえば、むち打ちによる後遺障害等級認定の申請ができる。
むち打ちでも医師からの後遺障害である旨の診断書があると、後遺障害として認定されるケースがあるが、治療頻度や治療期間などいくつかのハードルがあるため、弁護士からアドバイスを受ける方が良い。
むち打ちを後遺障害として認定してもらいたい場合は、故意に症状を誇張していると思われないように、画像診断や検査結果などの客観的な証拠を用意すると良い。
交通事故のむち打ちの症状固定をした後も通院を続けた方が、後遺障害認定の時に認定されやすくなったり、示談交渉で有利となることもある。