むち打ちでの治療費を支払い拒否された場合は?
追突事故などでむち打ちとなり病院で治療をしたのに、保険会社が示談の段階となって治療費を支払わないということがあります。
なかには、事故当初からむち打ちの治療費の拒否をするケースまであります。
交通事故でむち打ちとなった被害者からすれば理不尽な話で、「保険会社が治療費を支払ってくれない」と弁護士に相談に来る方もいます。
ですが、保険会社の方もやみくもに治療費の支払いを拒否しているわけではなく、ちゃんとした理由があることもあります。
1つは、過去に何度も交通事故で保険金を受け取っているケースです。
一人の人間が何度も交通事故に遭うことはありますが、「3年間で5回も交通事故に遭っている」などと明らかに回数が多すぎる場合は、保険会社側も慎重にならざるを得なくなります。
しかも、交通事故のシチュエーションが「歩行中に車に追突されて、むち打ちの症状が出た」というものばかりだったとすれば、言い方が悪いですが「当たり屋による保険金詐欺」と判断されてもやむをえないとも言えます。
もう1つは、通常ならばむち打ちになるような規模の交通事故でなかった場合です。
お互い徐行中の接触事故であったり、駐車場から出る際に隣の自動車のバンパーに軽く接触した程度であれば、むち打ちとなったことを保険会社側が疑うことがあります。
治療費の支払いを拒否されたのならば?
保険会社が事故に疑問を持った場合には、事故の調査が行われることがあります。
調査を行うのは保険会社の調査専門部署であったり、交通事故の調査機関であったり、交通事故に精通した弁護士であったりします。
保険会社が行う調査を、被害者側が反対することは難しいです。
保険会社は加害者から代理権を得ていますので、加害者と同じ権利を持っていることになります。
つまり、加害者が起こした事故を加害者自身が調査することは、正当な権利として認められているため、保険会社が事故の調査をする事を被害者が妨害することはできないことになります。
この場合の調査は、直接被害者に交通事故当時の状況や、むち打ちのなどの状態を聞くことはありません。
ほとんどの場合で、警察に事故の照会をしたり、被害者が治療中である病院の医師にむち打ちの症状や所見を求めることになります。
保険会社側としても、警察の検分や医師の診断など、第三者による証拠を集めた上で、治療費を支払うか否かを決定します。
もし、保険会社から治療費の支払いを拒否された場合には、保険会社が調査した内容に関して、反証していかなければなりません。
一個人で反証していくのは難しいため、交通事故に詳しい弁護士に相談するのが一番良いでしょう。
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保険会社はむち打ちの治療費の打ち切りを早期に言うことがあるが、医師から通院の勧めがある場合には通院を続けた方が良い。不当な打ち切りであれば弁護士から抗議してもらう方法もある。
低速度で走行時の交通事故によるむち打ちは、保険会社がむち打ちを認めない場合が多いが、医師の診断書などの客観的な証拠があれば、むち打ちと認められることがある。
軽度のむち打ちであっても、警察の人身事故の取り扱いと、医師による診断書がないと、保険の支払い対象とならないため、必ず病院に行く必要がある。
交通事故が原因でむち打ちになった場合には、警察に通報する・病院にすぐ行く・保険会社が提示する示談内容で示談しないことがポイントとなる。
交通事故によって負ったむち打ちの治療中に治療費を打ち切られた場合には、医師に治療の必要性を認めてもらい、弁護士を通じて加害者側と示談するとよい。