むち打ちだと治療費が打ち切りに?自賠責保険の上限とは?
交通事故のむち打ちは、時として治療が長期間となる事があります。
しかし、保険会社は交通事故による症状がむち打ちだけの場合、治療を早目に打ち切ろうとする傾向が強いです。
交通事故の被害者からすれば「けしからん!」と憤慨されるかもしれませんが、保険会社側からするといくつかの言い分があります。
1つは、むち打ちはCTやMRIなどの画像所見が無く、被害者本人の自己申告によるものが大きいと言うことです。
自己申告と言うことは、むち打ちでなくてもむち打ちだと主張することができるため、保険会社も「保険金詐欺ではないだろうか?」と慎重にならざるを得なくなります。
むち打ちの治療でも自賠責保険の上限を超えることも
もう一つが、自賠責保険の傷害補償の上限が120万円と言うことです。
交通事故の受傷は法律的には「第三者行為による傷害」となるため、怪我をさせた人間が治療費を負担しなければいけません。
つまり、0:10の過失割合の交通事故の被害者の場合、加害者が全額治療費を負担する責任があります。
よく、「交通事故の治療では健康保険証が使えない」と言われるのはこのためです。
実際は、健康保険証を使って交通事故のむち打ちの治療をすることができるのですが、その場合健康保険組合が立替えをしていて、最終的には加害者に請求する形となります。
加害者が自賠責保険が付帯した自動車で交通事故を起こした場合には、自賠責保険から治療費が支払われるのですが、この上限が120万円であるため問題が起こることが多くあります。
重篤な怪我の場合、ひと月で100万円近く治療費がかかることも珍しくなく、あっという間に自賠責保険の上限に達することになります。
「むち打ちの治療ならばさほど高額な治療費とならないから、問題がないのでは?」と思われるかもしれませんが、1回の治療費に1万円かかると120回通院した時点で上限に達してしまいます。
普段は健康保険を使って病院にかかられているので、「風邪の治療費で2000円で、薬代が1000円か」とさほど高くない印象がありますが、健康保険を利用した場合3割負担なので、実際には治療費に6660円、薬代が3330円と約1万円が実際の治療費となるため、意外と高額なのがわかると思います。
ですから、むち打ちの治療でも半年もたたずに自賠責保険の上限に達すると言うことはあり得る話なのです。
自賠責保険の上限を超えた分に関しては、加害者もしくは加害者が加入していた保険会社が負担することとなるため、保険会社としては「自賠責保険の上限に達しないうちに治療費の打ち切りをしたい」と言うのが本音となります。
しかし、保険会社の思惑がどうであれ、むち打ちの症状があり医師から通院を勧められている間は、治療を続けるのが望ましいと言えます。
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交通事故によりむち打ちとなった場合、むち打ちが完治するまで治療を続けると治療費が増えるので、治療を終えるまでは損害賠償請求ができない。
保険会社は交通事故によるむち打ちは軽微な受傷と考えているため、治療期間が3カ月を超えると、治療費の打ち切りを言ってくる可能性が非常に高い。
自賠責保険の怪我の治療費などの支払い上限は120万円であるため、むち打ちの治療費などが120万円を超えると、保険会社は治療費の打ち切りを言ってくることが多い。
むち打ちによって発生する損害は治療費だけではないので、治療が終わったら加害者の支払いは終わりではなく、その他の損害賠償金について話し合うべきである。
交通事故によるむち打ちの検査方法は多数あるが、一番重要視されるのは深部腱反射検査であり、この検査を受けている方が有利となる。