むち打ちによる通院慰謝料の計算方法は?
交通事故のむち打ちの場合、ほとんどのケースで入院はせずに通院で治療をします。
そのため、示談の段階で被害者と加害者側の保険会社との紛争となる原因の一つに、通院慰謝料と言うものがあります。
交通事故のむち打ちに対する治療費は、相手側の保険会社が直接病院に支払うか、一旦被害者側が支払い、領収書を提出して清算するかのどちらかになります。
治療費の場合は、病院が領収書を発行するため、治療費の内容項目の確認が容易であるので、健康保険適用内の治療をしているのであれば、問題となる事が少ないです。
また、通院慰謝料ではなく、入院慰謝料に関しては病院が入院証明を発行してくれるため、保険会社側としても詐病でない限り全面的に認めることがほとんどです。
一方、通院慰謝料は自賠責保険の基準では、実際に通院した日数の二倍か、通院をしていた期間のどちらか短い方に、通院慰謝料日額の4,200円をかけたものになります。
例えば、8月1日に交通事故に遭い交通事故当日から病院で治療を受け、25回(25日)病院に通院し、25回目の10月31日の治療で完治したとします。
実際の通院した日数を基準とした場合:25×2=50日
通院した期間を基準とした場合:8月1日~10月31日なので92日
となるため、短い方の50日に4,200円をかけた、21万円が通院慰謝料となります。
保険会社によって異なる見解となる事も
こうしてみると、むち打ちの通院であっても通院慰謝料を簡単に計算出来て、保険会社から支払われるのではないかと思うかもしれませんが、そうとも言い切れないことがあります。
もともと保険会社は保険金の支払いを抑えたいと考えているため、むち打ちであれば1カ月ほどで治療費の打ち切りを言ってくることがあります。
そのため、治療費が打ち切られた後に自費で治療していた期間は、通院慰謝料の対象期間と認めないこともあります。
また、交通事故によるむち打ちの症状が長期間続いていたとしても、ほとんどの保険会社で6カ月を超えてのむち打ちの治療は認めていません。
仮に1年2年と治療を続けていたとしても、交通事故から6カ月間の通院を対象とした通院慰謝料となりますので、被害者が想像していた金額を大きく下回る可能性の方が高いです。
しかし、これらは自賠責保険を基準とした保険会社の見解で、裁判の事例ですと通院日数が少ない場合は、通院実日数を3.5倍した日数と通院期間のどちらか短い方を支払い日数の基準とするとしています。
むち打ちの場合、比較的短期間で終わることもあるので、弁護士を介して交渉する余地があるとも言えます。
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むち打ちの示談金の内訳は、『治療費』・『休業補償』・『通院(入院)慰謝料』が大きなものであるが、慰謝料以外は支払いや補填に使われるため、実際に被害者に残るのは慰謝料のみである。
むち打ちの治療で整体院の利用を保険会社に断られた場合、整体院の方から連絡をしてもらうからめ手を使うことも効果的である。
交通事故によりむち打ちとなった場合、むち打ちが完治するまで治療を続けると治療費が増えるので、治療を終えるまでは損害賠償請求ができない。
むち打ちなど、少額の治療費で自賠責保険しかない場合、健康保険を利用して治療した方が、最終的に手元に残る金額が多くなることがある。
身体の構造上、交通事故に遭うとむち打ちになりやすく、日々の習慣から首を動かしてしまうため、治りにくいときがある。軽度のむち打ちで治りが遅い場合、詐病にみられる事もあるので注意が必要である。