裁判所が認めるむち打ちに対する治療期間の最大は?
むち打ちの症状は、軽症ならば1週間もかからずに完治しますが、重いものとなると1カ月、2カ月と治療期間が長引くこともあります。
被害者からすれば、「むち打ちの症状が完治するまでは、ちゃんと治療を続けたい」と思いますが、加害者、特に保険会社からは2週間~1カ月ほどで治療費の支給を打ち切ってきます。
むち打ちを医学的に分類すると、「首の筋肉の捻挫」に当たります。
足の捻挫の場合、軽いくじきならば2~3日、きつい捻挫であっても2~3週間で完治することが多いです。
それ以上に完治まで期間がかかるのは、靭帯に損傷があったり、骨にひびがあったりと、筋肉組織の損傷以外に原因があることがほとんどです。
そのため、むち打ちの症状だけであると医師が診断した場合には、保険会社も交通事故の状況が軽微であれば1週間、大きな事故の場合でも1カ月もすると完治、すなわち治療費の打ち切りを言ってくるのです。
裁判では2~3カ月までを認めるものが多い
しかし実際問題、交通事故でむち打ちを負った患者の中には、半年以上たってもむち打ちの症状を訴える方もいます。
そうなると、被害者と保険会社とで治療費の支払いを巡り、紛争が起こることが多いです。
最悪、裁判までいくことがあるのですが、むち打ちの症状だけを訴えての裁判である場合、裁判所は最大として2~3カ月をむち打ちの治療期間とみなすことが多いです。
例えば、むち打ちの症状を訴えて半年通院をしていたとしても、裁判所が「2カ月の治療期間で完治しているのが妥当な受傷」と判決を下してしまうと、2カ月分の治療費は支払われても、残りの4カ月分は自己負担となってしまうということになります。
しかし、画一的にむち打ちに対する治療期間の上限を2~3カ月としているわけではなく、患者の症状によっては2年以上の治療に関しても認めた判例もあります。
とはいえ、頸部の不快感のみでそういった判決が簡単に出るわけではなく、「常時めまいが起きる」「起立時に吐き気が生じる」「排尿障害がある」「交通事故後にEDとなった」など、その他の重度な障害が同時にないと、認められることはほとんどありません。
そのため、むち打ちの症状のみで相談した際に、「裁判すれば勝てます」「弁護士から保険会社に話をすれば、治療費を支払ってもらえます」と、簡単に発言するような弁護士には要注意です。
交通事故に詳しい弁護士であれば、今までの判例も知識として持っているため、それに沿ったアドバイスをするので、簡単に裁判を勧めてくる場合には警戒をした方が良いでしょう。
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医学的な画像診断が得られないむち打ちの場合、神経学的検査が行われることもあるが、絶対的な検査方法ではない。
交通事故により負ったむち打ちを後遺障害と認めてもらうためには、医師の助言のもとに定期的に通院治療をしつつ、怪我と治療に関する記録を残しておくと良い。
保険会社はむち打ちの治療費の打ち切りを早期に言うことがあるが、医師から通院の勧めがある場合には通院を続けた方が良い。不当な打ち切りであれば弁護士から抗議してもらう方法もある。
むち打ちの治療期間は大半の患者が2週間以内ではあるが、長期にわたる場合があり、医師から適切なアドバイスを受けて治療期間を決める必要がある。
むち打ちの治療期間の多くは3か月以内で完治するものが多いが、むち打ちの症状によっては症状が長引くこともあるので、保険会社が治療費の打ち切りを言ってきても、医師の指示があれば治療を続けられる。