交通事故によるむち打ちの通院慰謝料はどのくらい?
人身事故でむち打ちと聞くと、「そんなに大きな事故じゃないし、治療費に十数万円くらいプラスした金額をもらって終わり」と思う方もいれば、「何百万円も慰謝料をもらっているんでしょ?」と思う方もいます。
実際、交通事故でむち打ちとなった場合の慰謝料はと言うと、明確な基準があります。
治療期間中は、入院慰謝料もしくは通院慰謝料が支払いの対象となります。
入院慰謝料は入院期間中の日数が対象となりますが、通院慰謝料は計算式が少し違います。
自賠責基準の通院慰謝料の場合、日額4,200円で、交通事故の受傷で通院した期間、もしくは通院日数の2倍のどちらか小さい方の値をとります。
もし、通院期間が30日で実際に通院したのが5日であれば、
通院期間基準 30日
通院基準 5日×2=10
で、小さい値の10日の方が通院慰謝料の日数基準になり、日額の4,200円×10=42,000円が慰謝料の金額となります。
30日間で20日通院しても30日が上限となりますので、通院期間日数を超える通院慰謝料は支払われないということになります。
むち打ちで毎日通院していたとしても、1カ月当たりの通院慰謝料の上限は4,200円×30日=126,000円となります。
判例でもむち打ちはやや不利
上記の話は自賠責基準で、保険会社や裁判所基準ではやや変わってきます。
保険会社の場合は、ほぼ自賠責基準の金額を提示されることがほとんどですが、通院日数が少ない場合には日額に数百円程度プラスアルファされることがあります。
むち打ちの通院日数が何十日になることは少なく、アップしたとしても数千円以内であるため、期待しすぎると肩透かしを食らうことがあります。
裁判所(弁護士)基準では、骨折や擦傷など医学的所見が見られるものであれば、通院慰謝料は1カ月28万円が上限となります。
日割り計算すると約9,333円となるため、自賠責基準の2倍以上の金額になることがわかります。
では、むち打ちの通院慰謝料が1カ月に最大28万円支払われるのかというと、そうではありません。
むち打ちなどで医学的所見が無い場合には、1カ月19万円(日額6,333円)が通院慰謝料の上限となります。
「どうしてむち打ちだけ通院慰謝料が少ないのか?不条理だ!」と思われるかもしれませんが、一般的なむち打ちはMRIやCTで異常が見られない、いわゆる「自己申告」なので、医師も医学的な所見を出すことができないからです。
さらに、2カ月間だと36万円、3カ月で53万円と、単純に1カ月19万円の倍額になる訳ではありません。
これは、時間の経過により怪我が治癒していき、痛みが緩和・慣化すると裁判所が考えているからです。
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むち打ちの保険金で、主に保険会社と揉めるのが治療費と通院慰謝料であるが、一概に保険会社が保険金の支払いを渋っているとは言いきれない場合もある。
むち打ちで入院することはほとんどないが、医師から入院を勧められた場合には事前に保険会社に入院の了承をとる方がよい。
むち打ちの示談金の内訳は、『治療費』・『休業補償』・『通院(入院)慰謝料』が大きなものであるが、慰謝料以外は支払いや補填に使われるため、実際に被害者に残るのは慰謝料のみである。
むち打ちの治療で整体院の利用を保険会社に断られた場合、整体院の方から連絡をしてもらうからめ手を使うことも効果的である。
医学的な画像診断が得られないむち打ちの場合、神経学的検査が行われることもあるが、絶対的な検査方法ではない。