直近30年の死亡事故件数は減少している?
大津園児死傷事故や東池袋自動車暴走死傷事故といった、痛ましい交通死亡事故が毎日のようにニュースになっています。
令和2年度の交通事故の総数は309,000件で、負傷者は368,601人、死亡者は2,839人です。
直近の30年間の事故件数を見ると、平成13年の947,253件をピークに徐々に減って、平成13年度からすると令和2年は67.4%減になります。
負傷者数は1,181,039人からの68.7%減、死亡者は8,757人からの67.5%減になります。
数字だけを見ると事故件数と比例するように、負傷者数と死亡者数が減っているため、順当の様に見えます。
しかし、ABSやエアバッグ・自動アシスト機能・衝突時の緩和機能など、自動車の安全機能に関しては、ここ30年で飛躍的な発展をしています。
つまり、『30年前に同程度の事故であれば、怪我をしなかった・死なずに済んだ事故があるはずなのに、事故件数に対する負傷者数や死亡者数の割合が減っていない』という事実が浮かび上がってきます。
交通事故の内容が変化
内閣府発表の令和2年交通安全白書を見ると、死亡者3,215人中1,782人が65歳以上で、55.4%を占めています。
65歳以上の高齢者人口は3617万人で、日本の人口の28.7%なので、死亡事故の被害者に高齢者が多い事が分かります。
『死亡事故の被害者に高齢者が多い』と先述しましたが、逆に高齢者が加害者となる事も多くなっています。
免許返納制度がありますが、自家用車しか交通手段がないような地方では、なかなか進んでいないのが現状です。
また、認知症が発症していても本人が気づいていない、家族が気付いて運転を反対しても勝手に運転してしまうといったことがあります。
実際、死亡事故のニュースでも65歳以上の高齢者の運転による事故の報道が多く、加害者家族へのインタビューで『運転が荒くて、いつかは事故をすると思っていた』をいうコメントもよく聞きます。
死亡事故の被害者遺族からすれば、加害者家族も同罪と言いたいと思います。
実際2017年からは認知症患者は免許停止・取り消しとなる法律が施行されました。
判例では判断が分かれることもありますが、『認知症と知っていた・認知症の疑いが濃いのに、家族が放置していた』という場合には、家族に監督責任がおよび損害賠償責任を負う危険性もあります。
加害者が自動車保険に加入しており、死亡事故の被害者遺族に十分な損害賠償を行えるのならばよいのですが、そうでない場合には加害者家族に請求されるというケースもありえます。
高齢化を越えて超高齢化と言われる現代では、交通事故の内容も超高齢化の影響を受けていると言えます。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
死亡事故で加害者に損害賠償能力がない場合、被害者遺族が十分な損害賠償金を得られないことがあるが、加害者が自動車保険に加入していたのならば、その保険会社に請求できる。
死亡事故の示談をした後は、ほぼ示談を取り消すことができないため、問題がある相手ならば、示談交渉をする際は弁護士に任せた方が良い。
死亡事故の現地調査を遺族がする場合には早めに行った方が良いのと、用意をきっちりしてから現地調査に望んだ方がいい。
死亡事故の加害者は、事故発生後に逮捕される。最長23日間拘留され、その後、起訴するか不起訴か検察が判断する。加害者の減刑は、被害者との和解が重要視される。
死亡事故の加害者側に弁護士がついた場合には、被害者遺族からすると「口達者な弁護士に押し切られる」といったケースに陥りがちなので、早急に弁護士に相談をして、対応策を考えた方が良い。